楽天モバイルでは2023年10月23日に総務省からプラチナバンドの割り当てを受け、2024年6月27日から運用を開始し、東京都から順次エリアを拡大していく計画です。
これまで楽天モバイルでは「繋がりにくさ」が課題でしたが、プラチナバンドを活用することによって通信エリアの大幅な拡大や、通信品質の向上が期待できます。
この記事では、プラチナバンドとはそもそも何なのか、4G・5Gとの違いは何なのかという基本から、楽天モバイルがプラチナバンドを獲得したことでどんな効果やメリットがあるのかまで詳しく解説します。
- 屋内や地下で繋がりやすくなる
- 電波が届く範囲が広くなる
- コスト効率による高品質なサービス提供
「繋がりにくさ」の懸念が理由で楽天モバイルへの申し込みを悩んでいる方も、プラチナバンドのすごさを知れば安心できますよ♪
ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね!
楽天モバイルで再注目!プラチナバンドとは?
今プラチナバンドが注目される理由は、自社回線を保有する通信事業者の中でもまだ歴史が浅い楽天モバイルが割り当てを受けたことによるものです。
プラチナバンドは、建物など障害物を透過したり回り込みができるため、屋内や地下でも電波が届きやすいという特徴があります。
少ない基地局でも電波が届くため、高速通信を得意とする5Gと互いを補うことで、さらに快適な通信が可能になります!
プラチナバンドと4G・5Gの違い
プラチナバンドは700MHz~900MHzの周波数帯の通称で、この帯域はビルなどの障害物を避けて電波を送る特性があり、スマホの通信やテレビ放送の中継に利用されます。
プラチナバンドは電波が飛びやすく、障害物を回り込んで電波が届いたり、屋内や地下でも電波が届きやすいという性質を持つことから「電波の通り道」の役割を果たします。
一方、4Gはよく耳にする「LTE(ロングタームエボリューション)」の別名で、3Gより容量・速度を増した3.9Gを指します。プラチナバンドが「電波の通り道」なのに対し、4Gは「データを送る方法」と役割が異なるため、別物であることがわかるでしょう。
つまり、プラチナバンドは現在の4Gネットワークの通信品質を向上させる低周波数帯域だということです。
5Gは次世代の通信技術で、主に3GHz以上の高周波帯を活用し、非常に高速なデータ通信を実現します。
しかし、高周波数の電波は障害物に弱く、通信範囲が狭くなるというデメリットがあります。
そのため、障害物が得意で「電波の通り道」を提供するプラチナバンドと、高速なデータ通信が得意で「データを送る方法」を提供する5Gが互いに補完し合うことで、通信環境を向上させることが可能です。
なぜプラチナバンドが注目されている?
プラチナバンドは最新の技術や新しい周波数帯域ではなく、2010年代前半から使われています。
楽天モバイルをきっかけにプラチナバンドって言葉を初めて知ったけど、10年以上前から使われているのになぜ今話題に?
2022年10月1日に「電波法及び放送法の一部を改正する法律」が施行され、移動体通信事業者(MNO)4社に対してプラチナバンドの割り当てを行う議論がありました。
- 移動体通信事業者(MNO)とは:自社回線を保有し、自社ブランドで通信サービスを提供する事業者のこと。(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルを指す)
これにより、総務省は有識者会議を通じて「携帯電話用周波数の割り当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース報告書」を発表しました。
なんだか難しくてよくわからない…。
簡潔に説明すると、2022年10月1日に施行された法律は「今はドコモ・au・ソフトバンクの3社にプラチナバンドを割り当てているけど、理由を提示することで3社から周波数免許を奪える」というものです。
そもそもプラチナバンドの空きは少なく、多くが楽天モバイルを除いた他社3社に割り当てられていました。
これに対して楽天モバイルは「競争上不利だ」と訴え、実現性を踏まえた上で総務省が有識者を交えて議論した報告書によって、2023年10月23日に楽天モバイルもプラチナバンドを取得することができました。
3社からするとプラチナバンドを利用する他社が増えるのは運営にも関わります。「楽天モバイルでプラチナバンド運用するには時間がかかるから現実的ではない」という反対意見もあったことから、楽天モバイルがこれからどうなるのか?!と気になる人が多かったのです。
携帯電話といえば、ソフトバンクは名称の変更が何度かあったとはいえ、長年ドコモ・au・ソフトバンクの3社でしたよね。
結果的に楽天モバイルがプラチナバンドの割り当てを取得し、この割り当てのニュースが話題性を呼んだことから、今注目を浴びているというわけです。
また、議論中は「楽天モバイルがプラチナバンドを運用するまでに時間がかかる」と言われていましたが、楽天モバイルは2024年6月27日からプラチナバンドの商用サービスを開始しています。
「プラチナバンド」という言葉がいきなり普及したのは、楽天モバイルがきっかけだということです。
楽天モバイルのプラチナバンドいつから?
楽天モバイルのプラチナバンドは、2024年6月27日から運用が開始されました。順次各エリアに提供を開始予定ですが、具体的な地域はまだ発表されていません。
なお、プラチナバンドは1局のみの情報が続いていましたが、2024年11月27日に開催した「ネットワーク技術に関する勉強会」において、複数局を運用ししていることを発表しています。
ドコモ・au・ソフトバンクでは、プラチナバンドの人口カバー率が90%を超えており、広範囲で安定した電波の利用が可能になっていますが、楽天モバイルが全国で高速通信が利用できるまで時間がかかることが予想されていました。
しかし、楽天モバイルでは2024年内をめどに進めていた関東地方のSub6の出力増強やアンテナ角度調整などの取り組みが前倒しで完了し、2024年11月27日時点で1月の2.1倍までエリアが拡大しています。
人口カバー率って何?
人口カバー率とは、スマホなどの通信事業において、サービスが提供されている地域における網羅率を測る指標のことです。
「人が住んでいない」または「全く人が存在しない」場所でサービスを提供しても意味が無く、「あるエリアにいる人がどれだけ通信を利用できるか」という考え方で人口カバー率が算出されます。
つまり、「前人未踏の地」が圏外でも人口カバー率に影響が無く、例えば「人口カバー率99%」であれば「国土の99%」ではなく「日本国民の99%が利用できるエリアをカバーしている」という意味です。
楽天モバイルのプラチナバンドによる効果は?メリット・デメリット解説
プラチナバンドを使うことでどんな効果があるのか疑問に思いますよね。
プラチナバンドは「障害物が得意な電波の通り道」であるという性質上、以下のようなメリットとデメリットがあります。
- 屋内や地下で繋がりやすくなる
- 電波が届く範囲が広くなる
- コスト効率による高品質なサービス提供
- 他の高周波帯より通信速度が遅くなる場合がある
- 混雑している場所では繋がりにくいことも
プラチナバンドのメリット
プラチナバンドは低周波数帯であるため、障害物を回り込んで電波が届きやすいのが特徴です。
これは「回折」という現象によるもので、建物や地下だけでなく、山などの障害が多い場所でも通信が繋がりやすくなります。
楽天モバイルでは屋内や地下での繋がりにくさが課題点でしたが、プラチナバンドを獲得し運用を開始したことで解消し始めています。
また、プラチナバンドは、遠くまで電波が届きやすいという特性があり、都市部以外のエリアでも高品質な通信が可能なため、山間部などでも安定した通信ができるようになるでしょう。
基地局が少ない場所でもアンテナの設置で広範囲への電波提供が可能であることから、コスト効率が高いのもメリットです。
これにより、楽天モバイルは低料金で高品質なサービスを提供できます。
プラチナバンドのデメリット
プラチナバンドは低周波数帯を利用するため、高周波数帯と比較するとデータ通信が遅くなることがあります。
あくまでプラチナバンドは「電波の通り道」であって「データの送受信の方法」ではないので、プラチナバンドだけで高画質の動画を視聴したり、大容量データの通信に重さを感じる可能性があります。
楽天モバイルは他のキャリアに比べると回線数はまだ少ないですが、楽天最強プランのデータ無制限に加え、今回のプラチナバンド獲得をきっかけに契約申し込み数が増えることも予想されます。
楽天モバイルに割り当てられたプラチナバンドは3MHzで、他社3キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)が20MHzであることと比較するとかなり狭い帯域です。
高速大容量通信に適さないプラチナバンドを、楽天最強プランでデータ使い放題を求めるユーザーがフル活用すると混雑が発生し、パケ詰まりを起こす結果にもなりかねません。※パケ詰まりとは、圏外ではないのに通信速度が遅くなること。
プラチナバンド3MHzでは1,100万契約のユーザーを収容できるとみられており、2024年10月18日時点の契約者数は800万回線(情報元:楽天モバイル公式)であることから、当面の間は問題ないといえるでしょう。
楽天モバイルでは5Gエリアの拡大も発表しているので、プラチナバンドとの併用でさらなる通信品質の向上に期待ですね!
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楽天モバイルのプラチナバンドの対応機種やエリアは?確認方法
プラチナバンドは対応機種でないと繋がりやすさの恩恵を受けることができません。
楽天モバイルのプラチナバンドの対応機種は以下の通りです。
iPhone | Android | Google Pixel |
---|---|---|
iPhone6以降の全機種 iPhoneSE(第1・2世代) | Galaxy S5以降の全機種 Xperia Z2以降の機種(10Vを除く) AQUOS ZETA以降の機種(AQUOS R8を除く) OPPO 2018年以降の日本で発売されている機種 | すべての機種 |
プラチナバンド対応機種はこちらからも確認できます。各機種が対応している周波数帯が一覧になっており、700MHzが〇になっていれば利用できます。
また、楽天モバイルのプラチナバンド対応エリアは、東京都世田谷区1局のみの状態が続いていましたが、2024年11月27日に開催された「ネットワーク技術に関する勉強会」にて、複数局を運用していることを発表しています。
なお、サービスエリアマップが公開されており、プラチナバンド対応エリアも併せて確認できるようになるでしょう。
楽天モバイルのプラチナバンドに関するよくある疑問と答え
楽天のプラチナバンドは関西での提供はどうなる?
楽天モバイルのプラチナバンドは東京都世田谷区1局のみの状態が続いていましたが、2024年11月に開催された「ネットワーク技術に関する勉強会」の際に複数局運用していることを発表しました。
なお、大阪・名古屋・福岡などの大都市には楽天モバイルの既存の基地局が多く設置されています。
楽天モバイルでは新規のプラチナバンド専用の基地局も設置する予定ですが、まずは都心部で既存の基地局にプラチナバンドのアンテナを追加することで設置個所を伸ばしていく計画です。
楽天モバイルのプラチナバンド設備投資で料金に影響は出る?
楽天モバイルがプラチナバンドを全国で提供するためには、基地局を新たに設置する必要があり、特定基地局の設備投資額は令和15年度末までに544億円とされています。
料金について、楽天モバイルの三木谷会長は「今のところ値上げは考えてない」とコメントしていますが、544億円の設備投資は無視できない金額であることから、数年後には料金面に影響が出てくる可能性もあるでしょう。
ただし、プラチナバンドの提供により「データ無制限なのに繋がりやすくなる」という強みを手に入れた楽天モバイルは契約者数の増加が予想されるため、ユーザーは料金面の影響を受けることなくプラチナバンドを利用できることも考えられるので、今後に期待です。
楽天のプラチナバンドのバンド数は?
楽天モバイルが割り当てられたプラチナバンドは700MHz帯のバンド28(4Gバンド帯)です。
楽天モバイルではプラチナバンド単体としての運用ではなく、2024年7月時点では5Gとの補完を目指していましたが、5Gのバンド帯であるSub6のエリアが2024年11月27日時点で1月の2.1倍まで拡大したことを発表しています。
楽天モバイルのサービス情報や特徴をおさらい
項目 | 内容 |
---|---|
月額料金(音声SIM) | 3GBまで1,078円(税込) 3GB~20GB2,178円(税込) 20GB~無制限3,278円(税込) |
月額料金(データのみ) | 3GBまで1,078円(税込) 3GB~20GB2,178円(税込) 20GB~無制限3,278円(税込) |
使用回線 | 楽天・au |
通話料かけ放題オプション | RakutenLinkアプリ利用で国内通話無料 OS標準アプリでの1回15分以内の通話かけ放題1,100円(税込)/月 |
SNS使い放題オプション | なし |
光回線スマホセット割 | 楽天ひかりと同時契約で、楽天ひかりが6ヶ月間無料 |
データ繰越 | × |
テザリング | 〇 |
5G対応 | 〇 |
縛り | なし |
違約金 | なし |
初期費用 | SIMカードの交換・再発行が必要な場合のみ3,000円(税込) |
実質平均速度 | 平均Ping値51.01ms 平均ダウンロード速度144.55Mbps 平均アップロード速度36.19Mbps |
キャンペーン | 楽天モバイルの最新キャンペーン情報 |
データ通信が無制限で使い放題
楽天モバイルは口コミ評判によるとコスパ満足度が高く、人気の格安SIMです。楽天最強プランのみの従量課金制で月額料金は1,078円(税込)~3,278円(税込)です。※家族割は100円引き
つまり、使わなければ自動的に月額料金は安くなり、逆にデータ通信を使いまくっても上限は3,278円(税込)です。
プラチナバンドで快適なデータ通信を利用するとなると追加料金はかかる?
プラチナバンドを利用することで追加料金が発生することはありません。
プラチナバンドはあくまで「電波の通り道」を提供するもので、データ量や通信速度に影響するものではありません。
今まで繋がりにくかった屋内や地下で「データ無制限なのに繋がらない…。」という不満を解消するサービスだと思ってください。
RakutenLinkで通話し放題
楽天モバイルでは、RakutenLinkアプリを利用することで国内通話が完全無料です。
RakutenLinkアプリでの通話は相手がアプリユーザーではなくても利用できるため、家族や友達など、ついつい長電話をしてしまう相手への電話も安心です。
また、RakutenLinkでは国内だけではなく、対象国から日本への通話も無料なので、出張など海外渡航が多い方でも国際通話の料金を気にせず家族や会社に通話できます。
なお、楽天モバイル以外の通話かけ放題プランは「格安SIMのかけ放題をガチ比較」のページで解説しているので気になる方は参考にしてください。
海外でもそのまま2GB使える
楽天モバイルでは、海外でも手続き不要で毎月2GBまでデータ通信が無料で、月をまたぐ渡航であれば4GBまで使うことができます。
海外で利用するには「海外ローミング」をオンにするだけで良いので、事前申し込みの必要が無いのも楽天モバイルのメリットでしょう。
お仕事で渡航してWeb会議などしない限りは2GBあれば困ることはありません。
もし使いすぎてしまってデータ量が足りなくなっても1GB500円(不課税)で購入できるので安心してください!
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楽天モバイルのプラチナバンドに関する最新情報
- 2023年10月23日に総務省からプラチナバンド帯使用の許可が下りる
- 700MHz帯の電波を届けるために基地局の整備を開始
- 2024年1月25日の楽天グループ社主催「楽天新春カンファレンス2024」で、三木谷会長が同年5月からプラチナバンドを提供したいとの考えを表明。
- 2024年3月に行われたイベントで、楽天モバイル株式会社の代表取締役共同CEO鈴木氏が「今年の夏を目途」と表明
- 2024年4月30日に楽天モバイルがプラチナバンド帯の試験電波発射を開始
- 「試験電波による検証を経て、早急に商用サービスの提供を順次開始できるよう目指してまいります。」と発表
- 2024年6月27日に楽天モバイルは東京都を皮切りに本格的なプラチナバンド帯の提供をスタート。
- 2024年7月時点ではプラチナバンド適応基地局は世田谷の1基のみ。
- 2024年11月27日に楽天モバイルが開催した「ネットワーク技術に関する勉強会」にて、プラチナバンドを複数局運用していることを発表
- 楽天回線5G(Sub6)エリアの広さを2024年1月比で2.1倍まで拡大したことも併せて発表
楽天モバイルはプラチナバンド獲得で通信品質が上がる!
楽天モバイルがプラチナバンドを獲得したことで、「プラチナバンド」という言葉が広く認知されるきっかけになったほど通信業界においてはビッグニュースです。
プラチナバンドとは700MHz~900MHzの周波数帯域を指し、特にスマホの通信に適した帯域です。
この帯域の電波は建物内や地下など障害物がある場所でも電波が届きやすいという特性があり、楽天モバイルの課題点であった「繋がりにくさ」を解消し、通信品質が格段に向上することが期待できます。
楽天モバイルは既存のネットワーク技術と基地局を活用することで、プラチナバンドの提供をコスト効率よく進める計画を立てており、設備投資のコストを抑えながらサービスの質を高めることが可能です。
これまで通信の不安定さの懸念を理由に楽天モバイルの申し込みを躊躇していた人も、プラチナバンドによる品質向上によって安心して申し込みができるでしょう。
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