「リゼロ(Re:ゼロから始める異世界生活)」原作小説10巻を、ネタバレありであらすじ解説・考察をしていきます。
第9巻で、ついにペテルギウスを撃退した討伐隊。火の魔鉱石の大爆発からも、スバルが身を呈してエミリアを守ります。
スバルはエミリアと再会し、王都で聞かれたエミリアからの質問に自分の答えを伝え、二人は確かな絆を紡ぐことができました。
しかし、クルシュ邸では「眠り姫」となったレム、記憶を失ったクルシュがいて、エミリア陣営・クルシュ陣営は、魔女教徒との対立を深めていきます。
第9巻のあらすじ・ネタバレ解説はこちら
リゼロ原作小説10巻1章「帰り着いた場所で」あらすじネタバレ
スバルとエミリアは、白鯨・魔女教討伐の後処理についてロズワールと相談するため、一度メイザース領に戻ることにします。
クルシュ、フェリス、ヴィルヘルムが見送りにきてくれ、結ばれた同盟に喜びを感じながら出発しました。
- 白鯨討伐の正式な恩賞としてパトラッシュをもらう
- エミリアに対し、クルシュが「魂の在り方が、その存在の価値を決める」という記憶をなくす前の自分の口癖を使い、エミリアと知り合えて良かったと伝え、固い握手をする
フェリスによって、レムは荷台に固定されており、パトラッシュが引く竜車の御者台には、オットーが座っていました。
竜車の中でのエミリアとスバル
ロズワール邸に向かう竜車の中、二人になったスバルとエミリアの間には、少し気まずい空気が流れていました。
スバルは、第3章の最後に、エミリアにはっきりと好意を伝えていましたが、同じようにレムも大切だと思っているとエミリアに伝えています。
エミリアは「すごい自分勝手なこと言ってる」と呆れながらも、それを受け入れました。
スバルがエミリアにレムへの好意を伝えたのは、勇気のある行為ですね。
そして、自分も実は自分勝手な理由で王選に参加していると告白し、ロズワールと合流してから詳しく話すことになります。
エミリアは、スバルのレムとの思い出話を聞きたいとお願いし、話が尽きぬまま、ロズワール邸に到着します。
エミリアの「自分勝手な理由」は原作小説13巻で明らかになります。
お屋敷にフレデリカ・バウマンが戻ってくる
ベアトリスしかいないはずのお屋敷をノックすると、メイド姿のフレデリカがお出迎えをしてくれます。
- ロズワールの指示で、危険からメイド達を遠ざけるため、別の奉公先にそれぞれを案内していた
- ラムから緊急の呼び出しが入り、戻ってみるとロズワールもラムもおらず途方に暮れる
- ラムの置き手紙により、大体の事情は理解している
そこにエミリア達が戻ってきて、お出迎えをしたということでした。
スバルに、王選についてどこまで詳しく知っているのかと聞かれたフレデリカは、詳しく知っているのは「ラム」と「ベアトリス様」だけだと答えます。
フレデリカはベアトリスと少し距離があり、「禁書庫の大精霊様」と呼んでいます。ロズワール邸で過ごしている中でも、ベアトリスと出会う機会はそう多くないようでした。
ベアトリスと福音書
スバルは、ベアトリスの禁書庫を訪れ、今回の騒動について質問をします。
- ロズワールとベアトリスは、多くの秘密を共有している
- 一方で、魔女教徒の襲撃に関して、ベアトリスは一切関与していない
- スバルの出した福音書を見て驚く
- ペテルギウスが命を落としたことを知ると「お前も、ベティーを置いていったのかしら、ジュース…」と言葉にする
- スバルが魔女因子を知らないと話すと「なぜ怠惰を撃退したのか」「ロズワールは何をしていたのか」と驚愕する
- 「全ての答えは聖域にある」と話し、スバルを禁書庫から追い出す
ベアトリスからは「ジュース」「置いていった」「魔女因子」「大罪司教を倒す理由」という疑問が提示され、その答えが聖域にあると伝えられました。
大罪司教を倒す理由が魔女因子を取り込むことであれば、ペテルギウスの「試練」とは、自分がエミリアに倒されることが前提のものだったと考えられます。
この仮説が正しいと、第3章の4周目、アーラム村でエミリアがペテルギウスを倒したことは、実はペテルギウスの試練は完遂されていたこととなり、その試練の影響でエミリアが涙を流し、そのことに関して理解があるパックが、エミリアに何かを説明していた、という描写になるのかもしれません。
聖域へはフレデリカが導くと言われ、スバルは禁書庫を追い出されます。
そして、外に出された先にいたオットーと共に、エミリアとフレデリカのいる客間へ戻ります。
フレデリカが「聖域」について説明する
客間では、既にエミリアがフレデリカに聖域の場所を教えてもらう約束を取り付けていました。
- エミリアが「スバルは凄く頼りになる」という話をしていたとバラされ、顔を赤くする
- エミリアがスバルに直接「スバルを凄く頼りにしている」と聖域への同行をお願いする
- 竜車の御者としてオットーも同行することが決まる
フレデリカは、聖域へ出発するまでの準備に二日間かかると話し、先に聖域についての説明を始めます。
リゼロ原作小説10巻1章の考察、ネタバレ解説
パトラッシュの価値
パトラッシュは地竜の最上位種である「ダイアナ種」であり、その価値は「良い家が買える」程だと言及されています。
クルシュは白鯨討伐の功績の一つとして、スバルにパトラッシュを贈呈してくれました。
今後パトラッシュはスバルのパートナーとして、様々な難関に共に挑み続けてくれます。
ベアトリスが福音書を見て「ジュース」と呟いた理由
ベアトリスは、ペテルギウスの福音書を見て「ジュース」と呟いており、お前もベティーを置いていくのねと言及しました。
このことから分かることは次の二点です。
- ペテルギウスの愛称は「ジュース」である可能性が高い
- 400年前にペテルギウスとジュースは知り合いだった
二人がどのような関係性だったかは不明ですが、ベティーの親愛を込めた言葉から察するに、良好な関係だったことは間違いなさそうです。
ただし、現在のペテルギウスと良好な関係を築くことは相当に難しいので、恐らく400年前のペテルギウスはまともだったのではと思われます。
「怠惰」を撃退する理由は「魔女因子」以外にない
また、ベティーはスバルに対して、「魔女因子」のことを知らないなら何故「怠惰」を倒したのかと驚き、「ロズワールは何をしていたのか」と言及しました。
このことから、次のことがわかります。
- 「怠惰」を撃退する目的は本来「魔女因子」を得るため
- 他の大罪司教も魔女因子を持つのなら、大罪司教の存在理由は「打倒」されるため?
- ロズワールも魔女因子を集めると起きること、因子の意味を理解している
この後、ベティーは全ての答えは「聖域にある」と言ってスバルを禁書庫から追い出してしまい、ますます魔女因子に関する謎は深まるばかりです。
リゼロ原作小説10巻2章「聖域への道中」あらすじネタバレ
フレデリカが、聖域について説明します。
ただし、フレデリカは誓約によって聖域について詳しく説明することが禁じられており、誓約に触れない範囲での概要の説明となりました。
聖域の名前 | クレマルディの聖域 |
---|---|
注意すべき人物 | ガーフィール |
聖域の特徴 | 曰く付きの亜人族が住んでいる |
結界 | 部外者が入れないようになっている |
聖域へ出発する朝
出発の日、スバルはレムの部屋で、可能な限り一緒の時間を過ごします。
また、聖域が亜人族の集落であると知ったことを踏まえて、ルグニカ王国では亜人差別があることを察します。
- ロズワール邸に滞在していた吟遊詩人リリアナから、「亜人戦争」の話を聞いている
- 王都では亜人は見かけたが、貴族街や王城では一切見かけなかった
- エミリアに対する激しい蔑視がある
そして、考え事をしている最中に、ロズワール邸のメイドとなったペトラが、「出発の時間だよ」とスバルを呼びにきました。
- フレデリカ一人ではロズワール邸を管理できないため、アーラム村でメイドを募集。ペトラが翌日応募。即採用
- フレデリカから、「今まで見た子の中で一番有望」と称される
出発の準備が整うと、フレデリカとペトラから、エミリアとスバルに、それぞれある物が渡されます。
- フレデリカ:エミリアに「青い輝石の首飾り」を渡す
- ペトラ:スバルに旅の無事を祈る「白いハンカチ」を渡す
聖域へ向かうエミリア、スバル、オットー
聖域までの数時間、エミリアはスバルに不安や緊張を相談します。
- ロズワール邸に到着してからパックが姿を見せない
- 聖域にハーフエルフがいるかもしれず、初めて会うので緊張する
突然、青い輝石が光り出す
聖域のある森の中に入ってしばらく走っていると、突然エミリアがつけていた「青い輝石の首飾り」が光り出します。
危険と感じたスバルは、エミリアから首飾りを外し、外に投げようとしますが、エミリアが気を失って倒れたことに、注意が奪われてしまいます。
次の瞬間、スバルは竜車の外、森の中に転移されていました。
- ベアトリスの転移の有効範囲を考慮して、転移されたのはそう遠くない場所と判断
- 気を失ったエミリアを案じて、すぐに竜車と合流しようとする
- 突然、目の前に薄紅色の髪をしたエルフの少女が現れる
- エルフの少女を追った先に、墓所のような遺跡が現れる
- 遺跡の暗闇の中を進む
遺跡の暗闇の中を進んでいくと、どんどん五感が失われていき、意識と現実が混濁した頃、スバルは背後に「魔女」の声を聞きます。
物語が進むにつれ、この墓所のような建物が非常に重要になってきます。
エキドナとの茶会
スバルは、気がつくと草原の丘の上にいて、後ろから魔女が呼びかけています。
- 色を失ったような白さの美少女
- 白い日除けのパラソル、白いテーブル、白い椅子
- 差し出されたお茶
魔女は「強欲の魔女エキドナ」であると名乗り、スバルにお茶を飲みながら話をしようと提案してきます。
スバルは、白鯨や大罪司教以上の脅威をエキドナに感じ、自分に選択の余地はないと悟って、一気呵成にお茶を飲み干しました。
エキドナは、お茶を飲ませることをスバルに求めます。お茶は「ドナ茶」として今後親しまれていきます。
- エキドナの精神世界のような場所、「夢の城」
- 遺跡はエキドナの墓所であり、魂が囚われている場所
- スバルの肉体は遺跡の入り口近くで眠っている
エキドナは、スバルに何を知りたいのかと質問します。
君の知りたい欲を、好奇心を、強欲を、僕は肯定しよう。
そこにあった草原の丘、晴れ晴れとした空が消え去り、真っ暗闇の中、エキドナから知りたいことの内容を問われます。
『暴食の魔女』 ダフネ |
飢餓から世界を救うために、天命と異なる獣を生み出した |
---|---|
『色欲の魔女』 カーミラ |
世界を愛で満たそうと、人あらざる者たちに感情を与えた |
『憤怒の魔女』 ミネルヴァ |
争いに満ちた世界を嘆きながら、あらゆる人々を癒した |
『怠惰の魔女』 セクメト |
安らぎをもたらすそのためだけに、大瀑布の彼方へ龍を追いやった |
『傲慢の魔女』 テュフォン |
幼さ故の無邪気と無慈悲で咎人を裁き続けた |
『強欲の魔女』 エキドナ |
ありとあらゆる叡智を求めて、死後の世界にすら未練を残した知識欲の権化 |
『嫉妬の魔女』 サテラ |
全ての魔女を滅ぼし、自らの糧として世界を的に回した |
スバルは、エキドナに逃れられない恐怖を感じ、身じろぎ一つできず、言葉一つ発することができないでいました。
しかし、エキドナがそろそろだろうと言ってすぐ、スバルは急に気持ちが軽くなります。
- ペテルギウスの命を奪った時、「魔女因子」が次の依り代としてスバルを選んだ
- スバルが最初に飲んだお茶はエキドナの体液
- スバルの中の魔女因子に働きかけ、抵抗力を強くした
スバルが大罪司教「怠惰」の魔女因子を取り込んだことが明らかになります。ペテルギウスの当初の目的は、この魔女因子をエミリアに取り込ませることでした。
魔女因子をスバルが取り込んだことで、今後ストーリーがどのように分岐していくのか、非常に楽しみですね。
動けるようになったスバルは、「大罪司教」についてエキドナに聞きますが、エキドナは今のことには詳しくないと答えます。
エキドナは400年前、嫉妬の魔女サテラの大災からの存在ですが、そのエキドナが、今のリゼロの世界で半ば常識ともなっている「大罪司教」を知らないと話します。
大罪司教が遠くない過去に誕生したのであれば、その誕生の理由が気になります。
レムを眠りから目覚めさせる方法は分からないだろうと判断し、スバルはエミリアが心配だからと、茶会を終了して帰ることに決めます。
エキドナは、あまりのスバルの素っ気なさに驚愕しながらも、帰るための扉を出現させました。
そして、スバルに対価を求めます。
- 茶会の対価:茶会の口外を禁じる
- お土産:「聖域に挑む資格」
墓所の外でガーフィールと出会う
遺跡の入り口付近で目覚めたスバルは、茶会のことを忘れています。
遺跡の外に出ると、ガーフィールと出会いました。
- オットー、パトラッシュ、気絶中のエミリアと再会
- ガーフィールが出現
- パトラッシュ、オットー無力化
- ロズワールの関係者だと主張すると攻撃が止まる
パトラッシュは竜種の最強種「ダイアナ種」で、気位がとても高いことは誰もが認めることです。パトラッシュは敗北を自分に許さないため、ガーフィールとの敗戦を根に持ちます。
ガーフィールも同行し、聖域に向かう途中でエミリアが起床します。
ガーフィールは改めて、聖域とは「嫉妬の魔女エキドナの墓所を守るための場所」だと説明しました。
リゼロ原作小説10巻2章の考察、ネタバレ解説
フレデリカが二日間準備していたのは「青い輝石」?
フレデリカはエミリア達が聖域に向けて出発する際、「青い輝石」の首飾りを手渡しており、二日間の準備にも「青い輝石」は無関係ではないと話しています。
この点について、ネタバレも含んでの考察をしていきます。
フレデリカが二日間対応していたのは、「ロズワールとの連絡」であると考えられます。
フレデリカが屋敷から戻ってきた段階でラムからの置き手紙をもらっていますが、この時に「対話鏡」が置かれ、聖域にいるロズワールと連絡をとっている可能性が高いです。
エミリアを見送った際、行動の目的は理解しておらずとも、「これで良いのですよね、旦那様」と言及していることから、二日間待ったこと、青い輝石を渡したことは、ロズワールの指示であることは間違いないでしょう。
二日間を使って、ロズワールは恐らく次の準備を進めていました。
- 青い輝石の転移先を墓所の近くに設定(本来の設定は複製施設の可能性高い)
- 墓所の試練に挑み、動けない体になる
二日間で上記のスバル達を聖域に迎え入れる準備を済ませ、いざ再会の時を迎えたものと考えられます。
パックが外に出てこなくなった理由
パックが結晶石の外に出られなくなったのは、王都からロズワール邸に戻ってきた後です。
この先はネタバレ解説になりますのでご注意ください。
ロズワールは聖域でエミリアを孤立させる目論見があり、単独で負ける可能性のある唯一の相手パックに対して、外に顕現してこれないように仕掛けをしていました。
仕掛けの内容はエミリアとパックの契約の干渉であり、この結果、パックは結晶石の中にいながらも外に出ることができなくなっていたのです。
王都から戻ってきた後のエミリアは、スバルとの喧嘩で憔悴しており、隙だらけであったため、ロズワールの企みに気付くことすらできませんでした。
また、パックの方は自分が徐々に外に出られなくなることに感づいていたのか、クルシュ邸でスバルに対して、リアのことを頼んだよと発言しています。
エキドナの魂は墓所の遺跡に囚われている
墓所の遺跡はエキドナの魂が囚われている場所であり、その中でエキドナは他の魔女達の魂を蒐集して「夢の城」を作り上げていました。
聖域の結界がエキドナの眠る墓所を守るためのものであれば、エキドナ含む魔女達の魂を回収しようとしていたと言及された神龍ボルカニカは、この結界があったために聖域の中に踏み入ることができなかったものと思われます。
パトラッシュがガーフィールに因縁を持つ
墓所の遺跡の前でパトラッシュはガーフィールに敗北してしまいます。
パトラッシュは最も気位の高い「ダイアナ種」であり、敗北をずっと背負い続けることを許容しません。
そのため、このパトラッシュとガーフィールの因縁は、聖域の物語が進むにつれて再び展開されることでしょう。
リゼロ原作小説10巻3章「待ちかねた再会」あらすじネタバレ
聖域に到着したスバル達は、そこでラム、ロズワールと再会します。
しかし、ロズワールは負傷しており、これまでの経緯が説明されます。
- 聖域の結界に触れると、混血の亜人は魂と肉体が分離される
- 聖域は混血の亜人の集落であるため、住民は外に出れない
- 聖域を結界から解放するためには、「資格」あるものが「試練」に挑み、解放する権利を得ることが必要
- ガーフィールを中心とした聖域解放を支持する人々に、聖域を解放するまで外に出さないと閉じ込められる
- ロズワールよりもガーフィールの方が強いため、無理やり出ることは不可能
- ロズワールは「資格」がないにも関わらず「試練」に挑み、墓所に拒絶されて負傷
聖域の住民の代表である「リューズ・ビルマ」も話し合いに参加します。
そして、ガーフィールは率直に条件を伝えます。
それは、混血の血の「資格」を持つエミリアが、「試練」に挑んで聖域を解放させることでした。
住民の代表を名乗ったのは「リューズ・ビルマ」。ガーフィールは聖域を解放させようとしている
ロズワールの狂気の思惑
スバルは、聖域の大聖堂に集まっているアーラム村の人々と再会し、聖域の試練にエミリアが挑戦することを伝えます。
拒絶してきたエミリアがなぜ我々を助けてくれるのかと、住民達は疑問に思いますが、エミリアの「家族の元に返してあげたい」という純心に触れて、希望をエミリアに託し、両者の間で良好な関係が築かれていきます。
その姿を大聖堂の入り口で見ていたスバルとラムは、ロズワールの狂気じみた思惑を話します。
- ロズワールに「資格」がないことは明確で、重傷を負うことは自明の理だった
- 行動の理由の一つは、「領主としての責任を果たそうとした」と周囲に理解させること
- もう一つは、「ロズワールでも突破できない試練」と周囲に理解させること
- 周囲にこれらを理解させてから、エミリアに試練を突破させることで、「領民や聖域の住民をエミリアの味方にする」ことを目的としていた
常軌を逸するロズワールの考えに、スバルは狂気を感じ取っていました。
この辺りから、ロズワールの異常な考え方、行動指針がチラホラ散見されるようになります。
初日の夜にエミリアが試練に挑む
夜の時間になり、エキドナの墓所の試練にエミリアが挑みます。
エミリアが墓所の中に入ると、墓所が光り、エミリアが資格を有していることを表します。
スバルは、リューズから、ガーフィール達が自分で試練に挑まない理由を聞きます。
- 聖域の住民は、混血であるため試練に挑むことはできる
- しかし、契約により、聖域の解放をすることができない
光っていた墓所の光りが消え、エミリアの試練にトラブルが発生したことが発覚します。
本来「資格」のないスバルが慌てて墓所の中に入りますが、墓所は光り、スバルに資格があることを告げます。
スバルは、墓所の奥の石畳の部屋で倒れているエミリアを発見しますが、その部屋に入ると自分も意識を失います。
まずは己の過去と向きあえ
スバルが気がつくと、異世界転生してくる前の世界で、半裸の父親が自分を起こしにフライングボディプレスをかけてくるところでした。
リゼロ原作小説10巻3章の考察、ネタバレ解説
本当にロズワールよりもガーフィールの方が強い?
ロズワールは、ガーフィールには自分では敵わないので軟禁されていたと発言しましたが、これはフェイクです。
むしろ、ガーフィールとリューズはロズワールの意向で動いており、ロズワールの「エミリアに聖域の試練を解放させたい」という意向を汲んで動いています。
また、物語が進んでくると、自分が相対して負ける可能性があるのは「パック」だけと発言しています。
ロズワールの異常性が見え始める
聖域で再会したロズワールから、その異常性が少しずつ明らかになってきました。
ロズワールは、アーラム村の人々がエミリアに希望を託すように仕向けるため、深手を負うと分かっていながら、墓所の遺跡の中に入りました。
王戦を有利にするためであれば「自らが傷付くことも厭わないという異常性」が示唆され、ここからどんどんロズワールの本性が出てきます。
エキドナがスバルに「お土産」を渡した理由
魔女の茶会の終わりに、エキドナがスバルに「墓所の試練に挑む資格」を渡したのは、エキドナはエミリアでは試練を超えられないと思っているからです。
また、お土産を渡したのは「エキドナは誰かに聖域を解放してもらいたいと考えている」ことの証拠でもあります。
本来、エキドナの墓所を守るために聖域は存在しているとされていますが、エキドナ自身が聖域を解放しようとしているため、もはや聖域は必要ないということになります。考えられる理由は次の通りです。
- エキドナは聖域の住民達を解放してあげたい
- エキドナ自身にとって聖域が邪魔になっている
「強欲の魔女」であるエキドナが、住民達のことを願って聖域を解放することは考えにくいので、恐らく後者が理由になると思われます。
知識欲の権化であることを考えると、エキドナ自身が聖域に囚われてしまっている状態となっており、聖域を解放することができれば、外に出て知識欲を満たす手段を既に持っているのではと予想できます。
リゼロ原作小説10巻4章「親子」あらすじネタバレ
スバルが目を覚ますと、そこは異世界転生して来る前の世界の自分の家で、スバルは両親と再会します。
- 父親:菜月賢一、周囲から愛される魅力的な人物
- 母親:菜月美穂子、空気の読めなさは世界一、愛情に満ちている
スバルは、エミリア達といた世界の記憶は封印されており、不登校児となっているこの世界で自分の過去と向き合います。
- 父親・賢一は魅力的な人物で周囲から愛される人物
- 昴にとっては幼少期の頃からの憧れで、父のようになりたいと強く願っていた
- 昴は、幼少期の頃は勉強も運動もできて、友達の輪の中心にいた
- 周りが成長していくにつれ、次第に勉強や運動で勝てなくなる
- それでも中心にいるために、無茶な馬鹿をして周りを笑わせる
- 昴の周りからは誰も人がいなくなっていた
- 高校デビューにも盛大に失敗し、不登校となる
- 不登校となった自分を、愛情を注ぎ続ける両親から見放して欲しかった
- そして、父のようになりたいと願う自分を、諦めさせて欲しかった
父・賢一と話をしている間に、スバルはエミリア・レムと過ごした世界の記憶が蘇り、自分を諦めずに戦うと決めたことを思い出します。
そして、もう大丈夫だから、と心配する父親に伝えました。
自分に愛情を注いでくれた両親に何も返せぬまま、長いお別れを告げなくてはならないスバルは、号泣しながら謝罪します。
父の賢一は、そんなスバルを優しく抱きしめ、「頑張れよ。期待してるぜ、息子」と声をかけて見送りました。
スバルの過去に対する後悔は、既にレムによって答えを持たされていました。しかし、それを踏まえて父親と向き合い、言葉を交わし合ったことが、スバルにとって大切な意味を持っています。
母に送り出されるスバル
母の美穂子は、学校へ登校するスバルに途中までついていき、「やっとお父さんの真似をするのをやめたのね」と話します。
スバルは、自分の本心を察していた母親にひどく驚きました。
美穂子は、「お父さんの半分まで格好良くなって、後の半分で昴になればいい」と、昴らしく頑張りなさいとエールを送ります。
スバルは、その言葉を胸に刻み、誰かになるのではなく、自分になろうと決心します。
母へ、拙い言葉で別れの言葉を繋いでいきますが、美穂子は「全部わかってる、お母さんなんだから」と受け止め、「いってらっしゃい」とスバルを送り出しました。
リゼロ原作小説10巻4章の考察、ネタバレ解説
「試練の世界」は実在する?
エキドナによる「試練の世界」は、対象者の記憶から構築された虚構世界であり、現実に存在するパラレルワールドではありません。
ただし、記憶を元に構築していることに加え、エキドナの強欲の魔女としての権能である「叡智の書」の修正力が働いているため、「偽りではない世界」ということができます。
スバルの知らない両親のことが試練の世界で描かれましたが、これは真実のことであり、スバルの両親の返答も真実です。
エキドナは異世界の存在を知っている?
エキドナは、スバルの記憶をみることができるため、異世界の存在を知っているものと思われます。
ここで気になるのは、知識欲の権化であるエキドナが「異世界の知識」を見て、それほど興奮していないことです。
つまり、これは400年前にもスバルやアルと同じく異世界転生してきた人物がいて、エキドナはその人物を通して既に異世界についての知識を知っていたのではと考えることができます。
今のところ、400年前で異世界転生してきた可能性があるのはフリューゲルと荒地のホーシンの二人です。
この二人とエキドナは、近しい関係だったのではと思われます。
リゼロ原作小説10巻5章「踏み出した一歩」あらすじネタバレ
スバルが高校の教室の扉を開くと、強欲の魔女エキドナがいて、好奇心に満ちた目でスバルに問います。
自分の過去と向き合う時間は、君に何をもたらしたかな
エキドナは、スバルに対して試練の目的を説明します。
- 人は誰しも、過去に対して後悔を抱えている
- 試練の目的は「己の過去と向き合い、肯定でも否定でも答えを出すこと」
そして、一部始終を見ていたエキドナは、スバルを「合格」だと告げ、ただし、スバルは既に過去の後悔に対して答えを持っていたため、「過去と向き合う煩悶が見られなかった」ことが惜しいと言います。
スバルは、恐る恐るこの世界についての質問をし、エキドナが答えます。
- この世界はスバルの記憶から構築した虚構世界
- 本当のスバルの両親は、今も行方不明のスバルを心配しているだろう
- この建物以外は既に消え去っている
そして、スバルを受け入れてくれた両親を「あまりに理想的すぎないか?」と、スバルの妄想だと妖しく言い放ちますが、スバルの答えは揺るがず、伝えたいことを伝え、言ってもらったことを受け取った、と断じます。
この答えを聞き、エキドナは、本当の意味で試練は終了だと説明し、三つのうちの一つをスバルがクリアしたことを認めます。
スバルは世界の終わり際に、エキドナに両親と再会させてもらったことにお礼を告げます。
ふと、エキドナは、初めて本心を見せるような表情で、「君と言う人間が理解できなくて興味深いよ。怖いくらいだ」と返しました。
スバルの気持ちをエキドナは理解できない、という点は一つ重要なポイントですね。12~13巻あたりの伏線となっています。
エミリアは試練を乗り越えられない
スバルが目を覚ますと、横にはまだ試練が続いて難航しているエミリアがいました。
- あまりに苦しそうなエミリアの表情に、スバルはエミリアに触れてしまう
- エミリアの試練はそこで終了し、目を覚ますと、涙と嗚咽を流す
- そばにいるスバルではなく、パックの名前を読んで助けを求める
- ロズワールの建物の一室で休息をとり、スバルに励まされ、再挑戦を決意する
エミリアは、その後三日間連続で試練の挑戦に失敗し、その度、涙と嗚咽をまとって墓所から出てきます。
エミリアの痛々しい姿を見て、ガーフィールは見ていられないと感じています。
ロズワールとの密談
初日の試練の終了後、スバルはロズワール、ラムと密談の機会をもらいます。
- スバルの功績を「望外の結果だ」とロズワールが讃え、聖域から出た後、「騎士を叙勲する」と話す
- 一方で、スバルは、ロズワールの魔女教対策の手抜かりを糾弾する
手抜かりと言われたロズワールは、魔女教襲撃時に不在だったのは、意図したものだと説明します。
- ロズワールがいると、ロズワールが全ての問題を解決してしまうため聖域に入った
- クルシュとの同盟、白鯨討伐、魔女教討伐、これらをスバルとエミリアに解決させる
- そうすることで、周囲からの評価を上げ、王選を有利にする
結果として、スバル、エミリアに対する「周囲からの評価は180度変わっている」、と説明します。
スバルは、繰り返された惨劇のことを思い出し、それは結果論だと怒りますが、ロズワールは「君を信じていたからだ」と大真面目に答えました。
ロズワールの異常な考え方が、ついに明確に露見し始めました。スバルが白鯨討伐、魔女教討伐までに4回ループを経験し、その度に惨劇が発生していたことを思うと、ロズワールの判断は異常です。
しかし、その異常な判断の根拠が「スバルを信じていたから」というのは、聡明なロズワールの発言であることを考えると、スバルが難局を乗り越えることを知っていた、という意味になるのかもしれません。
密談を終える際、スバルはもう一つ質問をします。
- ベアトリスが全ての答えは聖域にあると言っていたが、本当か?
ロズワールは、墓所で誰かと会ったかとスバルに聞き、スバルは会っていないと答えます。
それならば、まだ話すべきときではないと、スバルに返しました。
ロズワールは、スバルがエキドナと会ったことを覚えている時に、話すべきことを用意しているということになります。
よって、スバルがエキドナの茶会に招かれることなどを、どこまで正確かは不明ですが知っていたということです。
アーラム村の人々を解放する
聖域に入って4日目、スバルはアーラム村の人々を解放する交渉を成立させ、村に人々を送り届けます。
- エミリアが聖域に囚われた時点で、結界を解放する以外の選択肢がなくなった
- アーラム村の人々に、人質としての価値はなく、ガーフィールが解放を了承
見送りに来たラムが、ロズワールからの伝言をスバルに伝えます。
屋敷に戻ったら「ロズワールは、質問をしろと言っていた」と言いなさい
その言葉がベアトリスの耳に入ったら、状況は変わるとロズワールは言っていた、とラムが言いました。
ガーフィールは結界までの案内人として同行します。
- エミリアの代わりに、スバルが試練を受けろと求める
- 青い輝石を渡し、いざという時はフレデリカに見せろと伝える
スバルは、アーラム村へ向かう道中で、ガーフィールから「エミリアの姿は見ていられない。本当に過去を超えたいと思っているのか。怖い怖いって泣いているのが本音じゃねえのか」と言われます。
その言葉に、もしエミリアが望んでいないのなら、自分が試練に望むべきではと考え、屋敷から戻ってきたらエミリアと話そうと心に決めました。
聖域の解放を求めていて、気の短いガーフィールが、エミリアが傷付くことを、なぜそこまで心配するのか、という点は重要です。
結界を抜けて6時間走ると、アーラム村に到着し、村人は家族との再会に感動していました。
スバルは、念のための保険としてオットーをアーラム村に残し、異変が起きたら聖域に連絡することを頼みます。
そして、パトラッシュと共にロズワール邸へ向かいました。
ロズワール邸の異変
ロズワール邸の前では、パトラッシュがしきりにスバルに心配そうな仕草をしています。
スバルは、ペトラとフレデリカがいるはずのロズワール邸のノッカーを鳴らしますが、誰も応答しません。
扉を開けて中に入ると、廊下の全ての部屋の扉が開かれており、その異様な光景にスバルは危険を感じ、急いでレムの眠っている部屋に向かいました。
しかし、部屋の前で何かにつまづき、転倒してしまいます。視線の先に盗品蔵で出会った「エルザ」を発見し、スバルは権能を発動しました。
リゼロ原作小説10巻5章の考察、ネタバレ解説
エキドナが「あまりに理想的すぎないか?」と質問した理由
エキドナの最後の質問は、「スバルの出した答えが本物であるか」を確認するための問いです。
本当の意味で試練は終了というのは、スバルが過去と向き合い、その上で明確で揺るがない答えを得ていたことを確認できたから発言されたものでした。
一度目の試練「まず過去と向き合え」は、過去の世界が終われば終了ではなく、過去と向き合い答えを出せれば合格となります。
そのため、スバルはエキドナに自分の答えを告げたため、合格となったのです。
エキドナの「怖いくらいだ」の意味
スバルの感謝に対してエキドナが「怖いくらいだ」と震えるのは、エキドナが「人の感情が理解できなくなっている」ことが原因です。
この先はネタバレ解説になりますのでご注意ください。
魔女因子は「魔女人格」を有しており、適性のない魔女因子を取り込んだり、複数の魔女因子を取り込んだりすると、徐々に本来の人格に上書きされていき、魔女人格が表に出てきてしまいます。
エキドナはかつて情に厚い魔女でありましたが、夢の城にいるエキドナは既に魔女人格に侵されており、知識欲を満たすためなら手段を選ばない存在となっています。
そのため、人の感情に対する理解がなく、合理的ない答えは想像することができません。
スバルの答えはエキドナの想定外のものであったため、「怖いくらいだ」と震えたものと考えられます。
エミリアが試練を乗り越えられない理由
この点もネタバレ解説となりますのでご注意ください。
エミリアは二つの存在によって過去の記憶の一部を封印されてしまっています。
一人はエミリアにとって忌まわしい存在であり、その存在と付随する記憶を封印されています。
また、もう一人の存在、エミリア自身が、封印された過去の記憶を歪に補完していました。
エミリアが墓所の試練で見る記憶は、この封印された記憶であり、その記憶はエミリアが突然受けとめろと言われて受け止められないレベルのものであるため、エミリアは何度試練を繰り返しても乗り越えることができないのです。
ロズワールがスバルを信じる理由
ロズワールはスバルを全面的に「信頼」しています。
これは、ロズワールの目的の実現に、スバルが貢献することをロズワールは「知っている」からです。
下記はネタバレ解説となりますのでご注意ください。
ロズワールは世界に二冊しか存在しない「叡智の書に最も近い本」を所有しています。
「叡智の書に最も近い本」は持ち主の未来の道標となる本であり、望む未来に到達するための道筋を示してくれます。
この中で、エミリアのために何度でもループする少年としてスバルが描かれていたため、エミリアのためであれば、スバルなら何度でもループして望む未来にたどり着くと信頼していたのでした。
スバルがオットーをアーラム村に残した理由
フレデリカが敵対している可能性を考えると、オットーが近くにいた方が事態を解決できる可能性は高くなります。
この時も、屋敷の中の危険をパトラッシュは感じ取っていたので、オットーがいれば翻訳して、スバルは中に起きている出来事を知ることができました。
この時点でのスバルは、権能の力を用いて「自分だけを犠牲にして窮地を脱する」と考えており、だからこそオットー含めエミリア陣営の誰もできるだけ傷つけないようにしようと考えています。
この考えの元となっているのは「レムを失ったこと」にあり、レムを頼ってしまったことで、結果としてレムが眠り姫になってしまったのだとスバルは自分を責めていたのでした。
リゼロ原作小説第10巻のストーリーの流れ
- クルシュ邸を出てロズワール邸に戻る
- ロズワール邸でフレデリカと出会う
- ロズワール邸に到着してからパックが姿を見せなくなる
- ベアトリスと再会し、聖域に全ての答えがると言われる
- フレデリカに聖域への道を示してもらう
- エミリア、スバル、オットー、パトラッシュで聖域に向かう
- 聖域近くで青い輝石が光り、エミリアが気を失い、スバルが転移される
- スバルがエキドナの茶会に招かれる
- 墓所の外でガーフィールと出会う
- エミリア・オットー・パトラッシュと合流し集落に到着
- ロズワール・ラムと再会
- 大聖堂でエミリアと村人が良好な関係を築く
- 初日の夜にエミリアが試練に挑むが失敗
- スバルが墓所に入り、過去の自分と向き合う試練をクリアする
- 試練後にロズワール・ラムと密談
- エミリアの試練挑戦が三日連続失敗する
- アーラム村の人々を聖域から解放する
- ロズワール邸に向かう
- エルザによってスバルが権能発動
続きの11巻のあらすじ・ネタバレ解説はこちら
本ページの情報は2021年03月05日時点のものです。最新の配信状況は各動画配信サイトにてご確認ください。