「リゼロ(Re:ゼロから始める異世界生活)」原作小説15巻を、ネタバレありであらすじ解説・考察をしていきます。
第14巻では、エミリアが、大切なフォルトナ母様・ジュースの記憶を思い出します。また、「虚飾の魔女」パンドラが、エミリアの両親とフォルトナの仇だということが分かりました。
墓所の外ではシーマによってリューズ・メイエルの記憶と聖域の真の目的、「憂鬱の魔人」ヘクトールの話がされました。
スバル、オットー、ガーフィールはロズワール邸での襲撃に立ち向かい、ラムはパックと共にロズワールとの戦いへ、エミリアは第二の試練に、と三方面での戦いが展開されていきます。
14巻のあらすじ・ネタバレ解説はこちら
リゼロ原作小説15巻1章「ロズワール邸、最後の日」あらすじネタバレ
ガーフィールとエルザの激しい攻防が始まります。
- 瞬き一つが致命傷になる程の激しい攻防
- エルザが素敵、と呟きウットリする
- フレデリカは一歩も動けない
- フレデリカのために、エルザを押し込んでレムの部屋までの道を作る
ガーフィールとエルザは、攻防の果てに床を抜き、階下に戦いの舞台を変えました。
フレデリカがレムを担いで去っていく気配を感じ、ガーフィールは安堵します。
エルザとガーフィールは、互いに自らの名前を名乗り、激闘が再開されます。
ベアトリスの心を解きほぐすスバル
スバルは、ベアトリスを絶対に禁書庫から連れ出すと言い、ベアトリスとの会話を始めます。
- 外に危険が迫っていて、俺は絶対にお前をここから連れ出すと告げる
- ベアトリスは禁書庫は隔絶された空間で、スバルの心配は杞憂だと返す
- スバルは扉渡りの弱点を話し、敵も知っていることを話す
- ベアトリスは、すぐにロズワールの名前を出し、自分の名前が叡智の書に刻まれたこと、それが母様が自分を忘れていなかった証拠だと安堵の息をつく
- スバルはベアトリスの態度に怒り、魔書に記されたことじゃなくて、自分で何をするか選べと叫ぶ
- ベアトリスは、精霊にとっての契約の重要性、それを破れないことを怒るように叫び返す
- スバルは、約束の大切さは身に染みて理解していると話す
- それでも、それでベアトリスを失うくらいなら、俺は約束よりもベアトリスを選ぶと話す
- ベアトリスは声を震わせ、「お前がその人になってくれるの?」と聞く
スバルは、誰がお前の「その人」なんて訳の分からないものになるか、と言葉にします。
その続きを話す前に、ベアトリスによってスバルは禁書庫の外に追い出されてしまいました。
メイリィ・ポートルート登場
部屋の外に追い出されたスバルに、避難したはずのオットーとペトラが現れ、事情を説明します。
- 魔獣使いが現れ、屋敷中が魔獣だらけになった
- 結晶石が効かない魔獣が現れ、慌てて逃げてきた
- 途端、階下で衝撃音がなり響き、地面が落ちる
- とっさにスバルがペトラを庇った後、フレデリカが現れ、全員を担いで庭園の芝生に脱出
- 西棟には頭を突っ込んでいる巨大なカバがいる
- カバの上にはメイリィがいて、カバを「岩豚ちゃん」と呼ぶ
フレデリカは、背負っているレムをスバルに預け、自分がメイリィに対峙すると言います。
スバルはレムを、オットーはペトラを担いで、脱出口のあるロズワールの執務室に向かいました。
ギルティラウの襲撃
スバル達は、ロズワールの執務室のある本棟の最上階に向かいます。
- 魔獣が途中で現れるが、結晶石の力で追い返すことができる
- オットーが結晶石が効かなかったのは1対だけと説明する
- 追い返した魔獣が廊下の奥で、別の魔獣に敗北する
- 異様な雰囲気が発生し「ギルティラウ」が登場する
オットーが、「ギルティラウ」が結晶石の効かなかった1体とスバルに忠告する。
ギルティラウは、屋敷を震わせる激しい咆哮を叫び、スバル達に向けて全力で突貫してきました。
リゼロ原作小説15巻1章の考察、ネタバレ解説
エルザとガーフィールが互いに名乗りをあげた理由
ロズワール邸の戦闘において、エルザとガーフィールは互いに自分の二つ名と共に名前を名乗っています。
この作法は、「相手の強さを認めた時」の作法であり、その証拠にエルザはフレデリカに対しては名乗っていません。
また、盗品蔵の戦いではエルザとラインハルトは互いに名乗っていますが、ラインハルトの方は「騎士の作法」です。
リゼロ原作小説15巻2章「水面に映る幸せ」あらすじネタバレ
二度目の試練の世界に入ったエミリアは、大樹のふもとをくり抜いたフォルトナとの家の中で目覚めます。
エミリアはフォルトナに髪を切ってもらっていて、目を覚まして写ったフォルトナの異なる様子に気付きます。
- 可愛いスカートを履いている
- おめかしをしている
整髪が終わり、鏡で確認しなさいとフォルトナに言われますが、足が鏡に向きません。
そこに扉がノックされ、ジュースが優しい表情で挨拶をしてきました。
- フォルトナは手作りのパンをバスケットに入れている
- 湖に三人でピクニックに行く日だった
ジュースがフォルトナに見惚れてしまったと話すと、フォルトナが恥ずかしそうにします。
三人のピクニック
湖畔にたどり着いた三人は、エミリアがお腹を鳴らしたのをきっかけに、すぐに食事にすることにします。
- バンケットの中には、フォルトナの得意料理の香草焼き
- ジュースも香草焼きが大好きで、ご馳走として食べている
- ピクニックに来る時の定番料理になっていた
二人の仲はとてもよく、集落の中では二人は夫婦になるものと噂が立っていました。
恥ずかしがり屋と鈍感の二人だから、きっと時間はかかる。それでも時間をかければ、こんなに想いあっている二人なのだから、必ず結ばれるだろうとエミリアは感じていました。
エミリアの目からは涙が流れ、それをごまかすために湖を一周してくると話します。
そして、「ずっと、すごーく、仲良しでいてね。二人とも、大好き」と伝えました。
湖畔から望む理想の今
エミリアは、湖畔を一望することのできる高台に登ります。
- 美しい湖畔の風景と穏やかな風
- 兄、アーチの優しい気遣い
- 遠くからフォルトナとジュースが優しく手を振ってくれる
幸せの風景を見ながら、エミリアは「この幸せな日々はどこにもないのね」と呟きます。
すると、アーチの言葉が変わり、「ありうべからざる理想の今」を見て、ここに居たいとは思えなかったのかい?と聞きました。
- 誰もが自由に笑顔で手を取り合える世界を作りたい
- 共に歩んできた人と支え合いながら進みたい
未来は、外の世界は、もう怖くない。とアーチに告げます。
そして、自分を愛してくれた兄アーチに、この幸せの風景を見せてくれたエキドナに、エミリアは感謝を伝えました。
アーチの姿はエキドナに変わり、エキドナの目には涙がたまり、「ただ君が憎い」と泣きそうな顔でエミリアに言い放ち、消えていきます。
二度目の試練の終わらせ方
エミリアは、高台から湖畔の水面に向けて、綺麗に飛び立ちます。
- 第二の試練は現実と向き合うためのもの
- エミリアは、氷像から目覚めてから一度も自分の容姿を確認していない
- 知らぬ間に成長し、嫉妬の魔女と似ていると蔑視される容姿を、怖くてみることができなかった
- 髪型や服装は、契約を理由に毎日パックが整えてくれていた
- それすらも、パックの優しさだったのだと気付いて熱くなる
エミリアの顔が水面に映り、それを見て、フォルトナ母様にあまり似てなくてちょっと残念、とエミリアは思いました。
墓所の遺跡の外でエミリアを待っていてくれた人たち
第二の試練を乗り越えたエミリアは、墓所の石室で目覚め、すぐに墓所の外にいるラムに報告に向かいます。
しかし、そこにはラムの姿はなく、代わりに大勢の人々の姿がありました。
- アーラム村の住民50名ほど
- リューズ
- 聖域の住民50名ほど
エミリアは、アーラム村の住民は結界を通って戻ることもできると、スバルから説明されているはずの話を伝えます。
しかし、住民全員でとぼけて、自分達はエミリア様が試練を突破するのを待ちますと、心強く支えてくれました。
聖域の住民の一人は、正直にエミリアに心情を伝えます。
- ガーフィールの叫びに心が震えた
- エミリアの挑戦は気高く尊敬する
- しかし、外の世界への不安、エミリア達を本当に信じていいのかの不安は残る
- だから、エミリアの試練への挑戦を見届けさせて欲しい
エミリアは、第一の試練、第二の試練の時よりも多くの人の気持ちを背負って、第三の試練に向けて墓所の遺跡の中に入っていきました。
そして、墓所が試練を告げます。
「いずれ来る災厄に向き合え」
リゼロ原作小説15巻2章の考察、ネタバレ解説
エキドナが涙を流しながらエミリアに「憎い」と呟いた理由
エキドナがエミリアに対して放つ「ただ君が憎い」という言葉は、「サテラに対するもの」である可能性が高いです。
他の魔女の態度から、サテラは他の魔女達を救った可能性が高く、この点を考慮するとエキドナの感情は下記のような出来事に起因しているのではと思われます。
- エキドナはベアトリス、ロズワール、サテラ含む魔女達がいる世界を愛していた
- 世界が終わることに気付き、エキドナは「強欲の魔女」として対抗策を探る
- サテラが自分を犠牲にして世界の終焉を止める
- エキドナはサテラが「自分勝手」に魔女達を救い、いなくなったことに怒っている
- だから悲しくて涙を流し、怒っていて憎いと話す
エキドナのエミリアへの言葉は厳しいものがありますが、その裏には情があるようにも思えます。
他の魔女達がサテラに感謝しているように、エキドナもサテラに対して元々は好意的な感情を持っていたと思われます。
リゼロ原作小説15巻3章「森の漆黒の王、ギルティラウの襲撃」あらすじネタバレ
ガーフィールとエルザの戦いは激しく、エルザはガーフィールの強さに興奮を隠しません。
ガーフィールは、致命傷となるはずの一撃をエルザに打ち込みます。
しかし、エルザはガーフィールを心配します。
- エルザは傷もすぐに回復し、疲労も感じない体質
- メイリィによって屋敷は魔獣だらけとなっており、お友達が心配では
エルザは、全力で向かってくるガーフィールを倒したいと考えており、ガーフィールのやる気が自分以外に向かないかを心配していました。
ガーフィールはエルザの心配を否定し、スバル達が自力で状況を打開することへの信頼を口にします。
スバルの作戦
スバル達は、ギルティラウの突貫をかろうじて逃げていました。
- 戦う選択肢はなく、すぐに逃走を選択
- 近くの部屋に逃げ込み、入り口にギルティラウがつっかえている間に庭園に脱出
- 他の屋敷にいる魔獣に見つかると、自動的にギルティラウにも見つかる
本棟最上階にあるロズワールの執務室に行く道が途絶えてしまいますが、ペトラとオットーは、当然のようにスバルに期待をします。
スバルは、仕方がないと、現代知識を駆使した作戦を提案しました。
森の漆黒の王!ギルティラウ
ギルティラウの耳に、スバル達の足音が届き、それを聞いて落胆してします。
- ギルティラウにとって、狩りの相手は健脚で強い者が望ましい
- 下手くそな足音の隠し方に、相手の技量が分かる
- しかし、「角の呪縛」から解放してくれた『主人』の願いを叶えるため、この獲物は仕留めると決める
スバル達は、まずはオットーの「足音を飛ばす魔法」を使って、ギルティラウを本棟1階の食堂の先にある、食料庫に誘きだしました。
そこで、スバルが現代知識を駆使した必殺技「粉塵爆発」を炸裂させようとしますが、見事に不発に終わります。
とっさにオットーが、不良在庫の商用油を全て使ってギルティラウを撃退します。
再びの禁書庫に向かうスバル
スバル、オットー、ペトラは、食堂の消化活動を続けていましたが、あまりに激しい炎の勢いに、消化は諦めて食堂を脱出し、最上階のロズワールの執務室に向かいます。
- 途中で現れた魔獣は魔除けの結晶石で退散させる
- 執務室の本棚の仕掛けをペトラが操作
- 隠し通路が現れる
- スバルが分かれてベアトリスの元へ向かおうとする
スバルと離れ離れになることに、ペトラは嫌だと抗議します。
スバルは、「無事に連れ戻ったら、ベアトリスと友達になってくれ。からかい甲斐のある奴だから」と優しくペトラを諭しました。
ペトラは魔除けの結晶石をスバルに渡し、スバルは屋敷に戻っていきます。
リゼロ原作小説15巻3章の考察、ネタバレ解説
ギルティラウの「角の呪縛」とは
魔獣の生態は明らかになっておらず、「角を折られた相手に従順になる性質」だけが明らかになっています。
ギルティラウは「角の呪縛」と発言しており、メィリィを「呪縛から解放してくれた主」と言及しています。
このことから、魔獣の角は、何らかの存在が魔獣を操るためのものである可能性が出てきます。
この説は、メィリィの「魔操の加護」は「魔獣の角の役割を果たす」仕組みで動いていることからも信憑性が高く、魔獣は何者かによる意思によって指令を受けているものと考えられます。
リゼロ原作小説15巻4章「次はきっとお茶会を」あらすじネタバレ
「いつか来る災厄に向き合え」
第三の試練の世界でのエミリアは、意識だけが投影されており、目の前に浮かぶ20ほどの光に手を触れると、それぞれが別の未来の情景を映し出します。
- 見たことのない景色
- 身に覚えのない状況
- 自分の、身近な人達の、知っている人たちの悲しみと苦しみ
繰り替えされる未来の悲劇に、この先に悲しみと苦しみしか存在しないのだとしたら、願うことは間違っているのだろうかと、エミリアは感じてしまいます。
お願いをするために祈るのは傲慢だと思うんです。祈るのは、許しを得るとき。
エミリアは、それでも、たとえ未来が悲劇に満ちていたとしても、最後の光に触れたときに現れた少女と、笑いあえる未来が欲しいと望みました。
夢の城のお茶会の約束
エミリアが目を覚ますと、エキドナの夢の城の草原に立っていました。
白いテーブルに六人がいたであろうお茶会セットがあり、自分がくることに気付いて、急いで隠れたような温かさが残っていました。
そこに、憤怒の魔女ミネルヴァが現れます。
- エキドナが「会いたくない」と言ったため自分が代わりに出てきた
- 後ろを振り向いてはいけない。顔を見られたくない、合わせる顔がないから
- 第三の試練は、起こりうる可能性を示すものだった
- 全て起こる可能性もあれば、一つも起こらない可能性もある
- 悲劇ばかりだったのはエキドナの悪戯だが、見た未来は全くの嘘ではない
- エミリアは、悲劇が起こらない可能性があるのなら、それを目指して仲間達と歩めると話す
- 大変なことがあっても、二人の母、三人の父、スバルやラム達が、自分を支えてくれているから
エミリアの試練の答えを聞いて、ミネルヴァは嗚咽をこぼしてしまいます。
お茶会セットを試練の終わりの扉に変え、振り返らず、まっすぐ進むようにエミリアに言いました。
エミリアは、ミネルヴァに伝言を頼みます。また会えたら、他の魔女達も一緒に、きっとお茶会をしましょう、と。
ミネルヴァは力強い声で応えました。
墓所の遺跡の奥の部屋に進むエミリア
エミリアが最後の試練から目覚めると、試練の石室の奥の扉が開いており、招かれるようにエミリアはその部屋の中に進みます。
- パックの結晶石よりも高い純度の魔水晶でできた棺
- 棺の中で眠るエキドナに似た女性
- 聖域の結界を展開させている高難度の術式
エミリアは眠っている女性を、エキドナのお姉ちゃんかなと感じました。
そして、難易度が高すぎて理解できない術式の核を見つけ、それを破壊し、聖域の結界を終わらせます。
墓所の外に広がる景色
全ての試練を突破したエミリアは、アーラム村と聖域の住民が待つ、墓所の外へと足を向けました。
しかし、そこにはエミリアが想像もしていなかった風景、猛吹雪が吹き荒れていました。
リゼロ原作小説15巻4章の考察、ネタバレ解説
ミネルヴァがエミリアに「合わせる顔がない」と言った意味
「合わせる顔がない」とは、自分のために相手が犠牲になった時に使うことが多い言葉です。
サテラは適性のない「嫉妬の魔女因子」を取り込みますが、これは「取り込みざるをえない状況」があったのではと思われます。
そして、その状況を作った原因がミネルヴァにあるのだとしたら、ミネルヴァの「合わせる顔がない」という発言や、サテラが夢の城に現れた時に泣きそうな顔になったことも肯けます。
ミネルヴァの権能はパンドラに近い「事象の変更」のようなもので、恐らく「オド・ラグナ」に対しても強い影響を持ちます。(パンドラが隠匿されていたのは、権能を使われるとオドが激減し、世界が崩壊するからと思われる)
ミネルヴァは世界から傷をなくすために奮闘していましたが、それは傷を世界に肩代わりさせるような行為で、結果として世界の崩壊に繋がってしまい、その崩壊から人々を守るためにサテラが「嫉妬の魔女因子」を取り込んだ、という可能性もあるのではと思われます。
「高純度の魔水晶でできた棺」の目的は何?
こちらはネタバレ含む考察となりますのでご注意ください。
ロズワールが聖域の結界を解放しようとした目的は「エキドナの体」です。
ミロード家で、ロズワールはスバルに「エキドナは血と魂がある状態での復活が望める」と言及していますが、これは「魂の転写技術」を使って蘇生するという意味と解釈できます。
魂の転写技術は器との親和性が重要になりますが、元が自分の体であれば何の問題もありません。ロズワールが「血」に言及していることからも、エキドナの状態は「仮死状態」に近いものであると想定され、パックの依代よりも高純度の水晶が棺に使われていることからも、「時間停止」の形で保存されているものと思われます。
エミリアの王戦を支援する理由が「劉を倒す」ことであることから、エキドナの魂は神龍ボルカニカによって封印されている可能性が高く、取り戻した魂と肉体を以って、エキドナの復活を果たすというのがロズワールの目的でしょう。
リゼロ原作小説15巻5章「血と臓物まで愛して」あらすじネタバレ
ガーフィールとエルザの激しい攻防が繰り広げられている東棟に、岩豚ちゃん、ワッグピッグが頭から突っ込んできて、上階もろとも屋敷の東棟を倒壊させます。
ワッグピッグの上にはメイリィが、庭園にはフレデリカの姿があり、姉弟と姉妹は再会を果たします。
ガーフィールが血を受け入れる
ガーフィールは、フレデリカとの再会に喜びながらも、すぐに状況を確認します。
- 目の前にはエルザ、メイリィの強敵
- フレデリカは負傷が激しい
- 巨大な魔獣「ワッグピッグ」も動ける
- 無数の魔獣に囲まれている
ガーフィールは、このピンチに笑い、男を見せる時だと燃え上がります。
そして、自分自身が忌み嫌っていた亜人の血を受け入れました。
- 部分獣化でエルザに攻撃
- 獣化で大虎の姿になり、ワッグピッグを撃退
ガーフィールは、クウォーターの血であるため、長時間の獣化はできません。
獣化が解けると、負傷から回復したエルザがガーフィールの前に立ちはだかりました。
エルザの正体と過去
ガーフィールは、聖域にいる間、ラムが持ってきたあらゆる種類の本を読み漁っていました。
大昔の魔女の中には「吸血鬼」がおり、すぐに復活する性質だったことから、エルザの正体は吸血鬼だと話します。
そして、魔女が今存在しないのだから、吸血鬼の回復力にも限界があると言い、攻撃を開始します。
エルザは、ガーフィールに自分の過去を話します。
- 北方のグステコ国の生まれ
- 貧富の差が激しい国で、貧困層の捨て子だった
- 幼い頃から、極寒の血で、泥水をすすりながら生きてきた
- ある日、物を盗んだ店の店主に捕まってしまう
- たまたま落ちていたガラス片で相手を倒す
- エルザは、そこで感じた温もりに生まれて初めての幸せを感じた
- エルザの幸せとは、寒さを温める温もりだった
なぜそんな話をするんだと聞くガーフィールに、愛おしいからだとエルザは答えます。
エルザ戦、決着
戦闘と火災に耐えることができなくなった東棟が、ついに崩落の時を迎えます。
メイリィがしゃがみこみ、エルザの名前を叫んで助けを求めると、すぐにエルザはメイリィの元に移動し、崩落してくる建物に向けて斬撃を放ち続けました。
- フレデリカが獣化
- 風より速い速度で走り抜け、メイリィを抱えて脱出
- ガーフィールの斬撃がエルザに向けて放たれる
- さらにワッグピッグを投げ、巨大な質量攻撃を加える
エルザには回復の兆しが見られず、今度こそガーフィールは勝利を手にします。
ガーフィールの咆哮が、崩壊したロズワール邸に響き渡りました。
リゼロ原作小説15巻5章の考察、ネタバレ解説
ガーフィールが「血を受け入れた」ことでできたこと
聖域で大虎になった際には自我をなくしており、愛するラム相手でさえも傷付けようとしてしまいました。
これは、血を拒んでいたことにより、自我に目を瞑った状態で大虎になっている可能性が高く、ガーフィール自身の自意識が飛んでいたものと考えられます。
ロズワール邸では、血を受け入れた状態で大虎になったため、意識はガーフィールのまま戦うことができていました。
大昔の魔女の中にいた「吸血鬼」とは
既出の魔女の中で最も怪しいのは「色欲の魔女」カーミラです。
「カーミラ」は女吸血鬼の名前であり、不死身説があったことからもこの説が濃厚です。
また、「色欲の大罪司教」カペラはエルザのママであり、カペラ自身も吸血鬼のような回復能力を持っています。
そのため、「色欲の魔女因子」に吸血鬼の性質が受け継がれているのではと思われます。
リゼロ原作小説15巻6章「復讐から始まり」あらすじネタバレ
ラム・パックとロズワールは、リューズ・メイエルの複製施設の外側で攻防戦を繰り広げています。
ロズワールは、全く本気を出していませんが、ラムの全力とパックの存在があって、初めて戦いになるレベルでした。
- ロズワールにとって、パックは正面から戦い唯一破れる可能性のある相手
- そのため、王都から戻って傷ついているエミリアの隙をつき、パックとの契約に細工した
- その結果、パックはエミリアの前に顕現することができなくなった
パックは契約以前の記憶も徐々に取り戻しつつあり、ロズワールの容姿、話し方、過去を取り戻すための生き方も全て理解していました。
圧倒的なロズワールへのラムの対抗策
ロズワールは、魔法の四重展開、五重展開と、歴代最高の魔導師としての技量でラムとパックを追い詰めていきます。
ふと、傷付いたラムを見て、心からの同情と憐憫の言葉を投げかけました。
- ラムは自分への復讐心で生きてきた
- 自分も、最後にはラムの手にかかるものだと信じて生きてきた
- 千載一遇の機会だったにも関わらず、少し機を早まったばかりに失敗した
ラムは、この男はあんなにも長く一緒にいて、触れ合って、それでも分からないのかと呆れて、告げました。
ラムは、ロズワール様を愛しています。
自分はロズワールの考えているような復讐の中で生きているのではなく、あなたへの恋慕の中で生きているのだと。
ロズワールは、ラムの話していることが理解できず、言葉が出てきません。
ラムはパックに呼びかけ、パックはそれに応じ、最後の攻勢に打って出ます。
ラムが目的を達成する
パックとラムが、ロズワールの先手を取り、連携攻撃で追い詰めていきます。
- あたり一面に氷の鏡を作る
- ロズワールが鏡を壊している間に上から氷像を投げまくる
- 氷像に対処している間にパックが巨大化し、星獣化の擬態をする
- パックに対処した後の隙に、氷像となっていたラムが鬼の力を使い、超短期決戦を挑む
- ラムがロズワールを上回り、ロズワールが敗北を覚悟して目を閉じる
ラムは、ロズワールの胸に手を当てた後、攻撃するのではなく、懐にあった「叡智の書」を抜き取りました。
そして、魔書をロズワールが出した火にくべ、灰に変えます。
ロズワールは絶叫し、気付いた時にはラムは魔法で吹き飛んでしまっていました。
エミリアがパックの元に走り出す
墓所の遺跡の外に出たエミリアは、猛吹雪の中に、氷壁の中で吹雪を避けてエミリアを待っていた、100人の人々を見つけます。
- 突然猛吹雪が発生した
- 猫の精霊様がすぐにきて、この氷壁を作ってくれた
- お礼をいうならエミリアに、と仰っていたので、エミリア様が守ってくれたと考えていた
エミリアは、パックの存在を氷壁を触って確かめます。すると、猛吹雪でぼやける視界の向こう側に、氷の塔が出現しました。
聖域にいる全ての人々に、墓所の中に集まって避難するようにお願いし、エミリアは、パックのいる氷の塔に向かいます。
ロズワールの切り札
ロズワールは、動かなくなったラムを抱きしめ、か細い声でラムの名前を呼びます。
- ラムの名前を呼べども、返事も反応もない
- パックがラムの勝ちを告げ、ロズワールに降伏を迫る
- 聖域に雪雲がかかり、雪が降り始める
- ロズワールは戦闘の前に魔水晶に術式を展開しており、時間稼ぎをしていた
- そのために切り札の「六重展開」が出せず、2人に遅れを取った
パックは、吹雪を止めにリューズ・メイエルの複製施設の中に入っていきます。
ロズワールは、呼吸が止まったラムの額に手をあて、無色のマナを懸命に送り続けます。
魔書は燃え、道標を失ったロズワールは、先生に向け、自分はどうすればいいのかと嘆きました。
管理者の最後の務め
エミリアが氷の塔に導かれて、リューズ・メイエルの複製施設の中に入ると、シーマ、リューズ、20体の複製体がそこにいました。
- シーマが魔水晶に掌を触れている
- リューズがそれを止めようとする
- 20体の複製体がリューズを止めている
シーマは、エミリアに結晶石を渡すと、パックの活躍を教え、今は眠りについていることを話します。
また、自分達、最初の4体の管理者の最後の務めについて説明しました。
- 聖域の結界は、墓所の術式を起点に、魔水晶が媒介となって発動している
- よって、完全に結界を解放するためには、魔水晶も終わらせる必要がある
- 魔水晶を終わらせるための鍵が最初の4体であり、最後の務め
エミリアは、それぞれに役割があることを理解し、シーマの言葉に頷きます。
シーマは、ガーフィールと過ごした10年の幸せを告げ、アルマ、ビルマ、デルマに、この先を見守ってくれと頼みました。
次の瞬間、光が迸り、魔水晶もシーマも姿を消し、聖域が本当の意味で解放されます。
多兎が聖域に到着する
エミリアは、リューズ・メイエルの複製施設の外に出ると、頭に雪が積もっている2人の姿を見つけます。
- ロズワールは反応がなく表情も虚ろ
- ラムは瀕死でギリギリ心臓が動いている
- ロズワールが全力でマナを注ぎ込んで治療していることが判明
多兎が来ることを聞いたエミリアは、すぐに墓所に移動する必要があるとロズワールに告げます。
ロズワールは、か細い声で「もういい」と返しました。
エミリアは、激怒します。
- ロズワールの胸ぐらを掴んで怒鳴るように叫ぶ
- もういいことなんて何もない
- 自分は、辛い過去も、理想の今も、悲劇の未来も、全てをみてこの道を歩くと決めた
- やっと歩き出すことができたのに、もういいなんて、誰にも言わせない
- 生きている限り、もういいなんてことは絶対にない
エミリアは、仮の王として、堂々たる風格で、複製体にロズワールとラムを墓所まで避難させるよう指示を出します。複製体は、その命令に歓喜するかのように、我先にと二人の元に集まりました。
そこに、ついに多兎が到着します。
エミリアは、パックが眠る結晶石に手を触れながら、必ず全員を守り抜くと誓いを立てました。
リゼロ原作小説15巻6章の考察、ネタバレ解説
パックは誓約以前の記憶も思い出し始めている
パックは自分が誰かを「推測ではあるが思い出した」状態となりました。
それでいてなお口調も変わっていないことから、パックが男性であることは間違いなさそうです。
元々の願い、存在理由が「エミリアを守ること」であることからも、エミリアの存在を自分以上に大切に思っていたことも間違いありません。
こうなると、パックはエミリアの「父親」説がより濃厚となりました。
半年前のロズワールとパックの戦いとは
ロズワールは魔書の記述に従ってエリオール大森林に向かい、エミリアを王選に出そうとしたため、パックと激しい争いになり、それぞれ本気に近い戦闘をしています。
この時、ロズワールは「五重展開魔法」まで使っておりますが、パックが星獣化、ロズワールが六重展開魔法まで使っていたら、エリオール大森林は消滅していたかもしれませんね。
パックの「星獣化」とは
パックの「星獣化」は「氷結の絆」でも描かれています。
パックの前任者のメラクェラが「調停者」を名乗っていたことからも、恐らく「オド・ラグナ」の命に従い、世界の崩壊を防ぐ仕組みとして存在するのが四体の「星獣」なのではと思われます。
エミリアが「偶発的」に手にした複製体を従える資格とは
複製体を従える資格は、強欲の魔女エキドナによって授けられるものです。
ここからはネタバレ考察となります。
リューズ・シーマの中には「強欲の魔女エキドナ」が存在し、その目的はメイエルの体に魂を転写し、魔水晶に魔女達の魂を移した上で、聖域の外に自由に出歩ける体を得ることでした。
エキドナの目的を達成するためには、聖域から多兎を追い出すことが必要であるため、エキドナはパックの依代となっている魔晶石を渡す時に、エミリアに複製体を指揮する資格を授けたのではと考えられます。
又は、エミリアが受け取った魔晶石の中にはパックが眠っており、パックは元々エキドナによって作られた人工精霊であることから、複製体の指揮権を持っている可能性もあります。
リゼロ原作小説15巻7章「俺を選べ」あらすじネタバレ
ベアトリスの、禁書庫の番人としての始まりが描かれます。
- 聖域の結界を展開し、憂鬱の魔人ヘクトールを退けた後、ベアトリスはエキドナに呼ばれる
- エキドナが臨む決戦に、命懸けの貢献を求められると考えていた
- エキドナは、知識の書庫を託す義務があると話し、ベアトリスに「禁書庫」を守るよう伝える
- 期限は「その人」が現れ終わりを告げるまで
- エキドナの権能「叡智の書」の複製本を道しるべのために渡す
エキドナは、ベアトリスに「せめて、健やかに」と言って別れを告げました。
始まりの日々
ベアトリスは、母様に言われた通りに、ロズワールの屋敷に禁書庫を繋げます。
ロズワールは、魔人ヘクトールとの戦いでゲートが潰れ、かつてのように人類最高峰の魔導師として活躍することはかないませんでした。
- ベアトリスの禁書庫に入り浸る日々
- 執念じみた姿勢で魂の転写技術を調べていく
- 十数年後、初代ロズワールが息を引き取る
- 次代のロズワール・B・メイザースがベアトリスに挨拶する
- ロズワールの目は黄色と青色の二色になっていた
それから何代もロズワールが代わっていきますが、ベアトリスが初代のロズワールのように、ロズワールに親愛の気持ちを抱くことはありませんでした。
屋敷にたどり着く人間に「その人」であることを期待し、裏切られ、そうした孤独の400年が積み重なっていきます。
スバルの続きの言葉
スバルは、炎で焼け落ちていくロズワール邸を走り回りながら、何度も禁書庫に入りは追い出され、それを繰り返します。
そうして、ようやくベアトリスが話を聞いてくれる状態になりました。
- 俺は、お前の「その人」ではない
- それでも、ベアトリスとずっと一緒にいたい
- 優しいお前が悲しくならないように、傍にいてあげたい
ベアトリスの感情は多いに揺れ、涙が流れます。
それでも、ベアトリスが出した結論は、スバルを空間転移させ、火災に巻き込まれないように屋敷の玄関の扉にだすことでした。「さよなら」を口添えて。
スバルの前に立ちはだかる脅威
玄関の入り口に転移されたスバルは、ロズワール邸の3つの棟が全て火災で倒壊しそうな状況を理解します。
「扉渡り」に使える扉が残っている可能性は、本館の最上階のみだと判断し、すぐに屋敷の中に再び飛び込みました。
スバルの周りは黒い瘴気が溢れ、火災からスバルを守るように衣の形になっていました。
階段までたどり着いた段階で、スバルは本棟の廊下に人影を見ました。
- エルザの亡骸が這うように近づいてくる
- スバルを発見して襲いかかってくる
- スバルは本館の最上階、3階にたどり着くが、目の間に瀕死のギルティラウが現れる
- ギルティラウの突進をギリギリでかわす
ギルティラウは、亡者となったエルザの前に位置どってしまい、進路の邪魔になったせいか、致命傷をもらいます。
残された最後の扉を開けるスバル
スバルは、ギルティラウとエルザの亡者が争っている間に、最上階の扉を次々に開いていきます。
- 最上階の扉はどこも禁書庫に繋がらなかった
- ロズワールの執務室にある避難路は、地下通路に繋がっており、その先に最後の扉がある
- スバルは最後の扉に向かうが、エルザの亡骸が向かってくる
- スバルは、扉を開くと「バックドラフト」が起きることを察知
- ベアトリスに自分の命を預けて扉を開く
スバルが扉の中に入った後、エルザの亡骸は同じ扉を開きます。バックドラフトによる強烈な炎が噴出し、エルザの体は今度こそ消失しました。
また、ロズワール邸の全ての扉が焼け落ちて消えます。
スバルの本当のお願い
本当の最後の機会に、スバルは本心をベアトリスに伝えます。
- さっき話した、傍にいたい、助けたいという言葉はカッコつけすぎていた
- ベアトリスは、誰もよりも強くて、優しくて、可憐で、一人で十分に生きていける
- スバルが力を貸す必要なんて全然なかった
- でも、俺はベアトリスと一緒にいたい
- だから、お前がいないと寂しくて生きていけない俺を助けてくれ
ベアトリスの心は多いに揺らぎます。それでも、いつかいなくなる、自分を置いていく癖に、とスバルの言葉の卑怯さを伝えます。
スバルは、いつか別れがやってくることを認めながらも、明日を忘れられないくらい楽しく一緒に生きようと手を伸ばします。
そして、「俺を選べ!」と叫びました。
禁書庫が炎に包まれて崩壊する寸前、ベアトリスの手にあった叡智の書は、地面に落ち、燃えていきました。
ロズワール邸から放たれる一筋の光
炎が噴出して倒壊するロズワール邸から、夜空に向けて一筋の光が放たれます。
その光は、上空まで昇った後、聖域のある方角へ進路を変え、一直線に進んでいきました。
- オットーとペトラ、アーラム村の住民は、裏山の山小屋の中でその光をみて歓喜にわく
- ガーフィール、フレデリカは、その光をみて安堵し託す
エミリアは、包囲網を縮めてくる多兎に対し、悲壮な覚悟で背にいる人々を守り抜いていました。
ピンチのエミリアの前に、スバルとベアトリスが手を繋いで現れます。
エミリアは、必ず来てくれると思っていた、と話しました。
契約主スバルと、大精霊ベアトリスの長い戦いの初陣が、切って落とされます。
リゼロ原作小説15巻7章の考察、ネタバレ解説
エキドナが戦いからベアトリスを遠ざけた理由
エキドナには未来の道標となる「叡智の書」があるため、戦いの勝利にベアトリスが必須なら、間違いなく協力を求めたはずです。
ベアトリスを遠ざけたということは、エキドナの「叡智の書」が空白となり、ヘクトール達との戦いで勝利の可能性がないと判明したのだと思われます。
夢の城で「別の目的で運用することに決まった」と強欲の魔女の方が言及していましたが、これは「いつか現れる」スバルの契約精霊になるように仕向けたのではと思われます。
「エルザの亡骸」が動ける理由
エルザは吸血鬼であり、かつてその力を「祝福」と呼んでいました。
盗品蔵では「加護持ち」であるフェルトに対して、「世界から愛されているのね、妬ましい」と言及していることからも、エルザの「祝福」は加護のように先天的に授けられたものではなく、後天的に与えられた呪いに近いのではと思われます。
エルザの体は動いていますが、既に魂はなく、「祝福」が無理やり体を動かしているものと考えられます。
リゼロ原作小説15巻8章「雪の顔型」あらすじネタバレ
スバルはベアトリスに戦力比を確認します。
- 契約直後でスバルは精霊術師として素人
- 相手は三大魔獣の一角「多兎」
- 準備不足に慣れない雪の環境
- 400年ぶりの実践
ベアトリスは、これらを踏まえて「ちょうどいいハンデ」だと不敵に笑いました。
エミリアが墓所の前で氷の防壁を張り、スバルとベアトリスがその前で多兎と対峙します。
陰属性の攻撃魔法「エル・ミーニャ」で紫矢を出現させ、多兎に放ちます。いよいよ、初陣の激闘が始まりました。
ベアトリスが気づいた多兎の特性
ベアトリスは、多兎は無限に増殖することはできるが、同時に出現できる数に上限があると指摘します。
- 上限がなければ、今頃大陸は多兎で埋まっている
そして、ベアトリスとスバルで多兎を攻撃し続けたことで、聖域の中にいる多兎を墓所の前に集めることに成功したと説明しました。
その数は数万匹にも及び、これを一度に殲滅することが、三代魔獣の一角「多兎」を撃退する条件となります。
多兎を一度に撃退する方法
ベアトリスとスバルは、多兎を一度に撃退する方法について、似た考えを持っていました。
二人は、すぐに準備に取り掛かります。
- ベアトリスが準備のために瞑想して詠唱を開始する
- スバルはベアトリスを抱え、多兎の攻撃を回避しながらエミリアの元に戻る
- エミリアに力を貸して欲しいと頼む
エミリアは、すぐに協力を受け入れます。
多兎を一箇所に封じ込める
スバルの囮作戦と紫矢、エミリアの氷魔法によって、空中に浮遊する20m四方の氷の牢獄が出来上がります。
その中には、聖域の全ての多兎が入っており、脱出することは不可能になっています。
スバルは、全ての準備が完了したことをベアトリスに伝えます。
ベアトリスは、瞑想から目を覚まし、眼前に広がる光景を見て笑みを浮かべました。
そして、陰属性の極致と言える魔法「アル・シャマク」を唱えます。
無理解の闇の中
氷の牢獄の中に、ベアトリスの魔法による闇が満たされていきます。
中にいる多兎は、無理解の世界に囚われました。
空間に作用するシャマク系の極致「アル・シャマク」は、最後には牢獄も呑み込み、全てが圧縮され別次元に送られます。
全てが消えた後には、多兎は一匹も存在していませんでした。
大団円
墓所にはアーラム村と聖域の住民、リューズが、全員こちらを見ていました。
階段では、ラムの手がロズワールの頬に触れ、ロズワールが表情を歪め涙を流します。
聖域とロズワール邸にまつわる全ての問題が片付き、スバルは、一人の力だけで解決しようとしなくて良いのだと考えます。
- ロズワール邸で活躍したメンバーがいたから
- エミリアがいたから
- ラムがいたから
- リューズや村人たちがいたから
- ベアトリスがいたから
この難題を解くことができたのだと、スバルは目の前に広がる光景を見て感じました。
エミリアが、微笑みながら指差した先には、功労者への労いを求めるベアトリスが腕を組んで賛辞を待っています。
スバルはベアトリスを抱きかかえて、くるくると周りながら、「ベア子、愛してる!」と叫びました。
ベアトリスは顔を赤くして、エミリアは優しく見守って、村人たちは盛り上がり、二人は転んで顔から雪に突っ込んでいきます。
リゼロ原作小説15巻8章の考察、ネタバレ解説
多兎の結末はダフネにとって悲劇?
魔女の茶会でダフネは「多兎の最後が幸いなら自分にとって希望になる」と発言していますが、ベアトリスによって、多兎は終わることのない飢餓を孤独に繰り返すことになりました。
この多兎の結末は、もしかするとダフネにとっては大きな絶望となるかもしれません。
リゼロ原作小説15巻幕間「それぞれの歩み寄り」あらすじネタバレ
墓所の遺跡の外では、スバルが20体ものパックの雪像を作っていました。
- ラムがエミリアの膝枕で休憩している
- エミリアが出来栄えに賛辞を送りつつも、自分の活躍も褒めてと話す
これまでのエミリアは、自分を過小評価する傾向が強くありましたが、試練を乗り越えて自信を持つように変わりました。
また、スバル自身も、一人きりで悩んで動く傾向がありましたが、困った時には周囲にも相談して力を借りるという考え方に変わります。
400年ぶりの再会
墓所の遺跡の一番奥、エキドナが眠る棺を囲むように、ロズワールとベアトリスは立っていました。
約束を守ることができなかったと、母であるエキドナに謝罪するベアトリスに、ロズワールは質問を重ねます。
- スバルはベアトリスの「その人」ではない
- 「その人」なんかより自分を選べと言ってきた
- スバルが一番にしてくれたから出てきたのではない
- 自分の一番にスバルをしたいから出てきた
ロズワールは、ベアトリスの答えを聞いて「変わらないね」と優しい声でつぶやく。
- ロズワールは魂の転写技術で400年前から魂を受け継いできた
- 器と魂の親和性が高ければ転写技術は成功する
- ロズワールは二つの目の色をしており、青い色の瞳は初代そっくり
ベアトリスは驚きながらも、禁書庫を燃やされた仕返しだといって、ロズワールに平手うちを食らわしました。
そして、おかえりなさい、とロズワールに優しい声をかけます。
ロズワールも、「ただいま、おかえり」と返しました。
想像妊娠騒動
エミリアは、耳まで真っ赤にしながらスバルに子供のことを相談します。
- 今までうやむやにしてたけど、しっかり気持ちに答えたい
- 王選の最中の出来事で大変だけど、生まれてくる子供は愛したい
- だから父親であるスバルにきちんと相談したい
エミリアは、チューをしたら子供ができると認識していました。
スバルは、結晶石の中で深い眠りにつくパックに対して恨み節を唱えます。
ロズワールに対するケジメ
エミリア陣営とロズワールが話し合いの場を持つために、まずケジメとして、全員がロズワールに一発ずつ、思い思いの一撃を入れます。
- ガーフィールの強烈な一撃
- フレデリカの獣券
- パトラッシュの突撃
- オットーの腰の入ったパンチ
- ペトラの水で濡れたタオルでの一撃
そして、主要メンバーが聖堂に集まり、今後についての話し合いが持たれます。
誓約の呪印
ロズワールは、まずエミリア陣営の仲間に対して、今後自分が一切の危害を加えることができないことを、「誓約の呪印」を見せて説明します。
- 契約:二者間のもの
- 盟約:血族間のもの
- 誓約:個人へのもの
誓約は、自分に対して制限を課すと共に、それに見合う力を手に入れられるものです。
誓約を破った場合は、魂が燃え尽き、「オド・ラグナ」に還ることもなく虚無に落ちるとされています。
これは、スバルとの「賭け」を成立させた時に、ロズワールが自分とスバルに対してつけていたものでした。
スバルとベアトリス
スバルとベアトリスは、墓所の遺跡のエキドナが眠る棺の前で話をします。
- エミリアと同じように、「強欲の魔女」と目の前で眠るエキドナは違うと感じる
- ベアトリスの母様は、眠っているエキドナの方
スバルは、一旦この違いは謎として飲み込み、ベアトリスの多兎戦での魔法に改めて賛辞を送りました。
ベアトリスは、それに喜びつつ、契約に関するデメリットをスバルに伝えます。
- 他の精霊と契約することができない
- 自分はマナ消費の燃費が悪い
- 先の戦いは400年間ロズワール邸で貯めたものを使った
- 既に、貯めていたマナは尽きた
スバルは、魔法を使えない精霊術師と精霊のコンビになったことを認識し、ガクリ、としました。
リゼロ原作小説15巻幕間の考察、ネタバレ解説
エミリアの覚悟が決まる
これまでのエミリアは自己肯定感が低く、担ぎ出された王候補という状態でした。
しかし、記憶の蓋が開いたことで、フォルトナが望んだ世界を作るという大きな志を持つようになります。
これ以降、ラムやロズワール、アーラム村、聖域の人々の想いを背負って立ち、心の拠り所としてスバルを全面的に信頼するようになりました。
エミリア想像妊娠騒動の原因は?
エミリアはエリオール大森林から出て、最初にミロード家に数日間滞在しました。
そこでミロード家当主のアンネローゼと仲良くなり、アンネからチューすると子供ができると教えられます。
この物語は短編「エミリーさんのメイド道」で描かれており、メイドをする可愛いエミリアが登場します。
パックは「虚無」に落ちかけていた?
パックはロズワール戦の際に「誓約以前の記憶を思い出した」ことを言及しています。
パックが強大な力を手にすることができたのは、自分に課した「誓約」のお陰である可能性が高い一方で、「誓約」を破りエミリアと契約を結んでいました。
誓約を破ったことで、結晶石から出られなくなることがたまに起きていましたが、ロズワールが「誓約を破るとオドラグナに還ることなく虚無に落ちる」と発言していたことからも、パックは虚無に落ちかけていたのではないかと思われます。
リゼロ原作小説15巻終章「月下、出鱈目なステップ」あらすじネタバレ
大広間には赤い絨毯が敷かれ、燭台が空間に荘厳さを演出します。
見慣れた仲間たちは、一様に礼服に身を包み、見守るようにエミリアとスバルを見つめました。
静寂の中、祝詞が唱えられ、エミリアがスバルに騎士を叙勲します。
スバルは、正しく、エミリアの隣に立つ資格を得ることができました。
叙勲式が行われた場所と背景
スバルの騎士叙勲式は、メイザース家の分家、ミロード家の屋敷で行われていました。
メイザース家の屋敷は倒壊しており、現在再建中ですが、再建を待たずにミロード家で式を行ったのには理由があります。
- これから王都で白鯨と「怠惰」討伐の論公式が開催される
- スバルも参列する
- そこで内外にエミリアの騎士となったスバルを知らしめるため、叙勲式を早めた
ミロード家の当主、アンネローゼは9歳という幼い当主ですが、エミリアと親しく、さらに先の想像妊娠騒動の原因をエミリアに教えた張本人でもありました。
ロズワールの目的と今後
テラス席で涼んでいたスバルの元に、ロズワールが現れて自分の目的について話します。
- 強欲の魔女と棺の中にいるエキドナは違う人物
- 自分の目的は、エキドナが血と魂のある状態での再会
- エキドナに関しては、死者蘇生の可能性が残されている
そして、魔書が失われた今、自分の目的が果たせるのは、スバルがエミリアを助けて王にした時だけだと伝えます。
だからこそ、これからの全力の協力をスバルに約束しました。
ただし、ロズワールの目的達成のためには、スバルが諦める事態は許容できないため、「誰かが失われれば、自分が残った全員を倒し、自分も誓約の呪印によって終わる」と、スバルに全員を守り抜くことを強要します。
第三者の思惑
さらに、協力するといった手始めに、エルザとメイリィの襲撃について、真実をスバルに告げます。
- 王都と今回、二度のエルザの襲撃はロズワールの指示
- しかし、ウルガルムと今回、二度のメイリィの襲撃は自分ではない
- 今回も、ターゲットはベアトリスだけだった
- 自分ではない第三者が動いていた
スバルは驚愕し、次の苦難が待ち受けている状況に身構えました。
エミリアと共有する光景
スバルが会場に戻ると、エミリアが近寄ってきてくれます。
スバルがロズワールとの話を伝えると、「きっと自分がしたことを忘れられるのが怖いんだわ」とエミリアが言い、スバルは真意を得たとばかりに納得します。
パーティー会場では、誰もがそれぞれに笑顔で楽しんでいる光景が広がっています。
そこには、身分や人種の区別がなく、全員がただ幸せに時間を過ごしていました。
スバルとエミリアは、この光景を絶対に忘れないと、この光景を世界中に広げていくのだと思いを一つにします。
そして、ペトラとベアトリスのダンスに混ざり、出鱈目なステップを踏みました。
リゼロ原作小説15巻蛇足「再臨」あらすじネタバレ
誰もいなくなった聖域の複製施設から、一人の少女が外に出ます。
- 10年前、シーマが墓所の中に入った時、強欲の魔女は一部をシーマの中に植え付けた
- それから時間をかけて、少しずつシーマの支配を進めていった
- シーマが複製施設の術式の解放を行う時、シーマの魂がリューズ・メイエルの肉体に転写された
- そして、強欲の魔女は、メイエルの体で再びこの世に再臨した
強欲の魔女は、魔書の燃え残りを「青年」が拾ったことにも触れます。
そして、まずは体を馴染ませるために、世界を見て回ると言いました。
リゼロ原作小説15巻終章の考察、ネタバレ解説
メイリィを動かしていたのは誰か
メイリィを動かしていたのは「ママ」であると判明し、ママは「色欲の大罪司教」カペラであることがほぼ確定しています。
しかし、カペラの目的は「自分だけに愛を向けさせること」であり、命を奪うことはしない存在であるため、ロズワール邸の襲撃でペトラやフレデリカを狙った行動とは一致しません。
そのため、依頼主は違う人物である可能性は残されています。
「叡智の書に最も近い本」を拾ったのは誰?
「叡智の書に最も近い本」を拾った人物は「青年」と表現されています。
「青年」の正体と魔書を拾った目的は、次の章の水門都市プリステラ編で明かされますので、読み進めていきましょう。
続きの16巻のあらすじ・ネタバレ解説はこちら
本ページの情報は2021年03月05日時点のものです。最新の配信状況は各動画配信サイトにてご確認ください。