「リゼロ(Re:ゼロから始める異世界生活)」原作小説7巻を、ネタバレありであらすじ解説・考察をしていきます。
第6巻では、ペテルギウスへの激しい感情に囚われたスバルでしたが、幼い交渉で各陣営との交渉に失敗し、リーファウス平原では白鯨と遭遇し、レムを失う結果となりました。
運び込まれたロズワール邸では、ループを口外しようとしたことで、エミリアが魔女の手に堕ち、ベアトリスに森に転移させられます。
パックに3つの罪を説かれ、3度目のループで果物屋の前に戻ったスバルは、全てを諦めてレムと王都から逃げようとしました。
しかし、レムのスバルに対する深い愛情と、諦めることを許さない厳しさに触れ、レムが期待する英雄としてのスバルになるため、奮闘を開始します。
第6巻のあらすじ・ネタバレ解説はこちら
リゼロ原作小説7巻1章「配られたカード」あらすじネタバレ
スバルが「白鯨の出没時間と場所」の情報を交渉の場に出すと、ラッセルがその情報の価値の高さを説明します。
- 白鯨は数百年、この世界で生きる人々の災厄であり続けた
- 犠牲は多く、討伐に動いた騎士団さえ壊滅した
- 商人にとっては、白鯨と出くわさないことが最大の関心事項
- 白鯨の出没情報と場所が本当に分かるのなら、その情報の価値は計り知れない
クルシュもラッセルの意見に同意し、情報の根拠をスバルに求めました。
ラッセルはあくまで公平な立場を主張していますが、裏でスバルに根回しをされています。白鯨討伐後にスバルのケータイのミーティアを譲り受けるという条件で、この交渉の席に同席していたのでした。
スバルが示す情報の根拠
スバルは、携帯を取り出し、このミーティアが白鯨の出没を教えてくれるといいます。
しかし、クルシュは根拠にはなっていないと指摘します。
そこに、レムがロズワール邸での出来事を思い出し証言をしました。
- ウルガルムの件で、スバルはアーラム村に飛び出していった
- 本来知る術のない情報を把握しており、それで問題解決に導いた
- スバルが情報を知ることができたのは、このミーティアがあったからなのでは、と推測する
クルシュは相手が嘘をついていないか知ることができる「風見の加護」を持っており、レムが嘘をついていないことを確認します。
そして、白鯨の出没情報についても、少し信頼度を上げました。
クルシュは「風見の加護」で相手の心情を把握することができるため、交渉ごとで負けたことがありません。
アナスタシア・ホーシンが会談に参加
そこに、レムに呼ばれたアナスタシア・ホーシンが登場します。
陽気に挨拶するアナスタシアに対し、クルシュ・ラッセルは態度を硬化させてしまいます。
- アナスタシアとラッセルは商売敵
- クルシュは、アナスタシアと自分を天秤にかけて白鯨の情報を売ろうとしているのかと訝る
- そのような姿勢であるならば交渉を終了すると断じる
スバルは慌ててクルシュを止めて、話の続きをします。
クルシュの白鯨討伐計画と同盟成立
スバルは、クルシュは白鯨討伐を計画していると予測し、その理由を説明します。
- 人の出入りが激しく、深夜に寝間着姿でクルシュが人と会うことがある。これは、王選開始による挨拶・会談だけでなく、より個人的な話し合いがされているものと考えられる
- 街の金物相場が上がっており、剣・槍などの鉄製品が高騰している。理由はクルシュが武器・物資を集めているからだと話を耳にする
- クルシュが武器を集めている理由は、「白鯨討伐」だとさる商人が漏らしたのを聞く
- クルシュが白鯨討伐を行うのは、商人からの支持を得るため。現状、民衆からの支持は圧倒的だが、重税により商人からの支持率は低い。そのため、商人の大敵である白鯨を討伐することで、商人からの支持を上げ、王選を盤石にしたいと考えている
スバルは、1周目でラッセルが「ヴィルヘルムの悲願も叶うでしょう」と話していたことを思い出していました。
そして、ヴィルヘルムが先程会談の場で、白鯨に対するただならぬ怒気を見せたことから、スバルはクルシュの攻撃対象が白鯨であると予測していました。
そして、白鯨討伐が目的であるのなら、スバルの情報は必ず役立つはずだと言い、改めて同盟の提案を申し出ます。
クルシュは、全てに納得することは難しいが、スバルのここまでの準備を整えた心意気と、自身の加護を信じて、この同盟を受け入れようと差し出された手を握ります。
クルシュ陣営が持っている白鯨の情報は、ヴィルヘルムが執念で集めたものです。その情報も精度は曖昧で、具体的な場所と時間は把握できていませんでした。そのため、スバルがもたらした正確な情報は、陣営にとっても望外の情報だったのです。
アナスタシアが呼ばれた理由
クルシュが、アナスタシアがこの場に呼ばれた理由を聞くと、アナスタシア自身が説明します。
- スバルの言葉の信頼度を上げるため(裏の理由)
- 商人として、大敵「白鯨」を討伐する助力をするため
白鯨討伐に必要となる武器・物資については、ラッセルとアナスタシアが担当して集めることになります。
時間は短く、白鯨出没まで残り30時間となっていますが、この2人ならば集められるだろうと、スバルが下準備をしていたのでした。
ヴィルヘルムと白鯨の因縁
ヴィルヘルムは、スバルに対して最大限の感謝を示します。
ヴィルヘルムは、スバルに対して、家名を「トレアス」と名乗っていましたが、今の家名は「アストレア」だと説明します。
前剣聖「テレシア・ヴァン・アストレア」の夫であり、白鯨に敗れた妻の復讐を遂げるべく、長年白鯨を追い続けてきたのが、ヴィルヘルム・ヴァン・アストレアの正体でした。
リゼロ原作小説7巻1章の考察、ネタバレ解説
クルシュの「風見の加護」は強力すぎる
クルシュの「風見の加護」は風を読むことで相手の心情を知ることができ、「嘘を見抜ける」ため交渉ごとで騙されることが絶対にないという強力なものでした。
公爵という重い立場にあるクルシュと加護の相性は抜群で、相手の心持ちを知ることができるため、部下の中で誰が信用できて、誰が信用できないのかを見極めることができます。
クルシュの君主としての資質も優れており、さらに加護も味方するとは恐るべしです。
ヴィルヘルムとテレシアの物語は「剣鬼恋歌」として語られている
ヴィルヘルムとテレシアの出会いの物語は「剣鬼恋歌」として、ルグニカ王国中で歌われています。
スバルも実は王都に来る前、吟遊詩人リリアナがロズワール邸に立ち寄った際、「剣鬼恋歌」を第2幕まで聴いています。
その叙事詩の主人公がヴィルヘルムなのですが、この時のスバルは「剣鬼恋歌」の主人公と目の前のヴィルヘルムが一致していません。
ヴィルヘルムのスバルへの感謝は深い
ヴィルヘルムは、愛するテレシアを失った悲しみと孤独、無力感を感じる苦難の10年を過ごしてきました。
そのため、白鯨に対する思いは尋常ではなく、その機会をくれたクルシュに対して、また決定的な環境を整備してくれたスバルに対して、深い感謝を捧げています。
ヴィルヘルムにとってはスバルは「恩人」となったため、今後も何かにつけてスバルを気にかけてくれます。
スバルにとっては憧れの大人であり、ヴィルヘルムとスバルの関係は今後も続いていきます。
リゼロ原作小説7巻2章「決戦前夜」あらすじネタバレ
決戦前夜、夜中に多くの人が慌ただしく準備している姿を見て、スバルは「自分のせい」で皆が慌てて準備していると感じ、何かできることを手伝おうとします。
しかし、フェリスに止められ、「スバルの領分はここにない」ので、ゆっくり休むようにと言い、「フーリエ殿下」の話をします。
- フーリエ殿下はルグニカ王国の第四王子であった方
- フェリス・クルシュと縁が深い
- スバルと似ている部分が多い
- フーリエ殿下は「せい」という言葉は決して使わなかった
- フーリエ殿下は「おかげ」という言葉を使っていた
フェリスは、スバルの「おかげ」で、皆が動けるようになったのだと教えます。
フェリスがヴィルヘルムの過去を話す
また、フェリスはスバルに、ヴィルヘルムの過去についても教えます。
- 前剣聖であり妻であったテレシアは、白鯨討伐の時に命を落とした
- ヴィルヘルムは、白鯨討伐に居合わせることができなかった
- アストレア家を出奔し、十年以上1人で調査を続け、ついに白鯨の出現法則を見つけ出した
- しかし、ヴィルヘルムに協力するものは現れなかった
- 王族の滅亡もあり、支援者を見つけることさえも難しくなった
- ヴィルヘルムの無念と絶望は想像に難くない
- 利害の一致ではあるが、そこに半年前に手を差し伸べたのがクルシュ
- クルシュの「おかげで」ヴィルヘルムは絶望から救われた
- そして、スバルの白鯨情報の「おかげで」今、戦う準備を始められている
フェリスは、ヴィルヘルムの話をすることで、それぞれの領分で全力を尽くすことで、互いに「おかげ」が連鎖し、良いことが繋がっていくのだと。だから、スバルはスバルで、できることをやっていけばいいのだと暗に伝えます。
フェリスの後ろに、過去をペラペラと話されたヴィルヘルムが出現し、フェリスに忠告しました。
話を聞いていたレムは、ヴィルヘルムに、「奥様を愛していたのですね」と問い、ヴィルヘルムはそれを肯定します。
レムはスバルに、レムがいなくなっても、同じように長い時間忘れずにいてくれますか、とスバルに問いました。
スバルは答える代わりにレムの額を指でつき、レムは幸せそうにしました。
………。
パトラッシュと出会う
翌朝、スバルとレムは、フェリスに連れられ、クルシュ邸の地竜の厩舎を訪れます。
一流の地竜が並ぶ中、スバルはロズワール邸で一度出会った地竜を見つけ、その地竜を相棒として選びます。
レムは、その地竜がかなり気位が高いことに気付いて心配しますが、地竜はスバルに驚くほど懐いていました。
スバルの愛竜「パトラッシュ」との出会いですね!なぜ、パトラッシュがこんなにもスバルに懐くのかは不明です。。
「鉄の牙」団長リカードと出会う
庭園に戻ると、獣人の目立つ一団がいます。
その中の1人、巨大なコボルト族の獣人「リカード」がスバルに挨拶をしてきます。
リカードの大きさと明るさに驚愕して言葉が出ないスバルでしたが、アナスタシアが現れ、鉄の牙の団長であることを紹介しました。
リカードも関西弁を話し、アナスタシアのことをお嬢と呼び、お嬢は友達が少ないから友達になってくれへんか、とスバルに言うほどのフランクさで接してきました。
クルシュにスバルの戦術を伝える
庭園で話しているスバルの元に、クルシュが現れ、スバルが戦いに参加するのは意外だったと告げます。
スバルは戦力にはならないけど、と前置きした上で、自分の戦術を指揮権のあるクルシュに伝えました。
- スバルは魔獣を引き寄せる体質
- レムがスバルの体質を保証する
- 白鯨を自分が誘導して、その隙に全員で総攻撃をしてはどうかと提案
クルシュは是非もないと答え、スバルの覚悟を受け取ります。
いざ、白鯨との決戦へ
白鯨討伐隊の主要メンバーが、クルシュ邸の大ホールに集められ、クルシュが演説をします。
- 魔女エキドナが現れてから400年
- 魔女去りし後も、魔女に従う白鯨は残り続け、数多が犠牲となってきた
- 犠牲は数え切れないほどであり、今もそれは増え続けている
- 我々が今日、その歴史を終わらせる
クルシュの叫びに、一同も叫びで応えます。
討伐隊は、フリューゲルの大樹を目指し、いよいよ前進を始めました。
リゼロ原作小説7巻2章の考察、ネタバレ解説
フェリスは「自分にできることを尽くす」という考え方をスバルに伝える
フェリスはスバルに冷たい態度や言葉をぶつけることが多かったですが、これは「かつての自分を見ているよう」という同族嫌悪の八つ当たりの面もありました。
フェリスは「青」の称号を王国最高の治癒魔術師ですが、かつては剣でクルシュに仕えようと、腕っぷしの弱さにもがき苦しんでいた時期がありました。
スバルはかつてのフェリスのように「全てを自分でどうにかしよう」としていたため、フェリスは苛つき、冷たい言葉を投げながら、「自分ができることで尽くす」ことを教えてきたのでした。
レムの「同じように長い時間忘れずにいてくれますか?」はずるい
ヴィルヘルムとテレシアの話を聞いた後、レムはスバルに対して「同じように長い時間忘れずにいてくれますか?」と聞いています。
そして、この後実際にスバルとレムは長いお別れの時間を経験することとなりました。
その間、スバルはレムのことを一時も忘れることなく想い続け、反応のないレムに毎晩語りかける日々を送ります。
スバルとパトラッシュが出会う!
パトラッシュは、地竜の中で最も気位が高い最上位種「ダイアナ種」です。
しかし、クルシュ邸の厩舎で出会った際には、一目でスバルに懐いており、これ以降ずっとスバルのパートナーとして活躍し続けます。
パトラッシュがスバルに懐いた理由は、プレアデス監視塔の最上階での一言から考察することができ、「フリューゲル」が関わっているものと思われます。
リカード先輩初登場
クルシュ邸の庭で、アナスタシアの私兵団「鉄の牙」の団長リカードが初登場となりました。
リカードは仲間思いの兄貴分であり、同じ陣営のアナスタシアやユリウス、ミミ達に対して深い愛情を持っています。
また、アナスタシアの味方となっているスバルにも注目しており、白鯨戦ではスバルを大いに助けてくれます。
各部隊長を務めるのは前回の討伐戦の生き残り
討伐隊の小隊を率いるのは、ヴィルヘルムが召集をかけた壮年の男性陣ですが、これはかつてテレシアが参加した時の白鯨討伐隊の生き残りの人々です。
ちなみに、クルシュが演説をした会場でスバルに話しかけてきた人は、テレシアが捨てた「龍剣」を拾ってアストレア家に返した人物でもあります。
リゼロ原作小説7巻3章「白鯨攻略戦」あらすじネタバレ
白鯨討伐隊は、隊長はヴィルヘルムが務め、小隊長が1組15人の合計15組、約220名の軍勢となっています。
スバルは、フリューゲルの大樹まで残り半分の地点で、鉄の牙の主力メンバーと挨拶を交わしました。
ミミ | 「鉄の牙」副団長。天真爛漫でわがまま。戦闘になると突っ込んでいく |
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へータロー | 「鉄の牙」副団長。ミミの弟。団長とミミが突っ込むので、鉄の牙の指揮をとることが多い。シスコン |
リカード | 「鉄の牙」団長。メンバーの緊張をほぐすために明るく声をかけて回る |
へータローのミミへのシスコンっぷりを見て、スバルはレムのラムに対する崇拝を思います。ちなみに、ミミにはもう一人弟がおり、その弟もミミが大好きです。
また、鉄の牙のメンバーは、「ライガー」と呼ばれるトラやライオンに近い獣に騎獣しています。
ライガーは、カララギでは重宝され、地竜と比較して身軽さがあり、乱戦での戦いでは大活躍するとリカードが豪語しました。
フリューゲルの大樹に到着
白鯨が出現する5時間前、討伐隊はフリューゲルの大樹の麓に到着します。
武器や物資の準備、作戦会議が終わると、スバルはレムを連れて、フリューゲルの大樹の周りを散歩し、その大きさに感動していました。
- フリューゲルはこの大樹を植えただけでも偉い
- 誰かが名前を刻んでいるのを見て、自分も描こうとする
- レムに、ミーティアが白鯨の出現を教えてくれるのは嘘ですよね、と言われる
- レムはスバルを見ているから、嘘だとわかる。でも問題ない。丸ごと信じてる、と言われる
- スバルは思わず泣きそうになって上を見上げ、レムはそれを優しく見守る
- レムはスバルを愛しているといい、第二夫人でもいいですよ、と可愛く言う
スバルも、レムに、エミリアのことが大好きだけど、レムと一緒にいると心が震えると、好意をきっちり伝えます。
愛ゆえの先制攻撃
間も無く白鯨が出没する時間となり、それぞれが、自分がすべき行動に精神を集中させます。
そこに、スバルのミーティアから音楽が鳴り響きます。
しかし、1分経過しても、何も起きません。
次の瞬間、巨大な影がリーファウス平原に現れ、威容を放つ白鯨の姿が現れます。
クルシュは奇襲の先制攻撃の号令をかけるのを、一瞬躊躇い、致命的な遅れを取ってしまいます。
レムは、愛ゆえに、スバルの言葉を完全に信じていたため、白鯨が現れた瞬間に動き出し、見事に先制攻撃を成功させました。
クルシュは笑いを噛み締め、「あの馬鹿どもに続け!」と号令をかけます。
レムは、スバルの言葉を完全に信じていたため、1分程度の空白の時間も、白鯨が出没することを信じ切っていました。
そのため、白鯨が出た瞬間、クルシュが一瞬たじろいだのを見て、自分達で先制攻撃を仕掛けるという判断をしています。
最大火力を集中
「夜払い」と呼ばれる魔鉱石が空に打ち上げられ、闇に覆われていたリーファウス平原が、昼間のような明るさを得ます。
そして、作戦通り、スバルとレムが囮となって白鯨の注意を引き、最大火力の攻撃を白鯨に仕掛けます。
- クルシュの無形の剣「百剣一太刀」
- 魔鉱石による大砲
- ヴィルヘルムの鬼気迫る斬撃
- リカードの息もつかせぬ大鉈の連撃
- ミミ・へータロー率いる鉄の牙の集団攻撃
- 魔法部隊による最大火魔法
スバルは作戦成功を喜びますが、レムは、この「最初の総攻撃で白鯨を地に落としたかった」と悔しそうな表情を見せます。
白鯨は厚い皮の上に、マナを分散させる毛が生えており、見た目ほどのダメージは与えられていないと説明しました。
ヴィルヘルムの獅子奮迅
白鯨の毛が燃えた箇所に追撃を加えることが勝機であると、すぐに討伐隊は認識を一致させ、二度目の総攻撃を仕掛けます。
レムとスバルはその総攻撃に参加できず、歯がゆい気持ちで見守ります。
その隣にフェリスがきて話をします。
- フェリスは、見ていることしかできない歯痒さは自分にもあると言う
- スバルは、フェリスは回復役でこの戦いの生命線だと話す
- だから、フェリスはフェリスの役割をビシッと果たしてくれ、と言う
「自分ができることに集中する」というのは、何度も何度もフェリスがスバルに対して向けてきた言葉でした。
フェリスは、スバルの成長に目を細め、レムがスバルを男にしたのかにゃ、と軽口を叩きました。
レムが戦況に対して感嘆の声をあげると、ヴィルヘルムが鬼気迫る斬撃を白鯨に対して仕掛け、傷を与え、討伐隊の士気が一気に上がります。
白鯨の二種類の霧
負傷した白鯨は怒り狂い、二種類の霧を出して反撃を開始します。
拡散型の霧 | 白鯨の移動範囲を広げるための霧。リーファウス平原にぼんやりかかる |
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消滅型の霧 | 超高圧で襲いかかってくる霧。地面をえぐり取る威力。この霧で命を落としたものは、世界から存在を消され、誰の記憶にも残らない |
スバルは、3周目の世界で、オットー、ラム、エミリアがレムを忘れてしまったことが、この消滅型の霧のせいだということを理解しました。
討伐隊は、二つしかない「退魔石」を使い、霧を晴らそうと試みますが、スバルの胸の中には嫌な予感が渦巻いています。
オドに干渉する精神攻撃
霧は、白鯨のマナから出たものであり、白鯨の意思のもとに在り方が変わります。
そして、霧が討伐隊のメンバーの体内に入った時、異変が始まりました。
- 突然隣にいた人が発狂して狂ってしまう
- スバルは影響がなく、レムは軽いマナ酔いをしている
- 小隊15人のうち、動けるのは2人程度になる
- 体内の「オド」に直接干渉する攻撃であり、治せるのはフェリスのみ
クルシュがすぐに号令を出し、負傷者を多少手荒に扱っても、フリューゲルの大樹の麓に連れてくるように指示を出します。
フェリスも無事であり、そこで治療をするという目論見を立てていました。
しかし、スバルは、白鯨が一箇所に集まった負傷者達を見逃すとは思えないと言い、レムに、一番危険なところに付き合ってくれとお願いをします。
そしてレムは、迷いなく、「はい、どこまでも。」と応えます。
絶望的なシチュエーション
スバルは、ループを宣言しようとし、魔女の香りを強め、囮役として白鯨の注意を引きつけます。
そこに、強力な援軍が駆けつけます。
- ヴィルヘルム:激しい斬撃を白鯨に加える
- ミミ・へータロー:凄まじい破壊力の合体技の音波攻撃を放ち、白鯨の高度を下げる
- リカード:ヴィルヘルムとのコンビで霧を発生させている場所を叩く
討伐隊が優勢となりますが、ヴィルヘルムは、この相手に「剣聖であった妻・テレシアが負けるとは思えない」と、手応えのなさに不安を感じます。
その予想通り、絶望と言える状況が作り出されます。
- 消滅型の霧の攻撃により戦力がさらに削られる
- ヴィルヘルムが白鯨に食べられる
- リカードがスバル・レムを庇って深手をおう
- スバルの前・後ろ、上空に合計3匹の白鯨が現れる
討伐隊は、戦力が削られ、主力が倒れ、そして白鯨が3匹に増える。絶望的なシチュエーションがスバルの前に訪れました。
リゼロ原作小説7巻3章の考察、ネタバレ解説
レムの「第二夫人」は実現するのか!?
フリューゲルの大樹の前でレムは「第二夫人でも良いですよ」発言をしましたが、これは実現が難しそうです。
- スバルは「賢人候補」となっている
- 賢人になると「スバルはスバルのままでいられなくなる」と示唆されている
- スバルは最後はリゼロ世界から消える可能性が高い
上記の理由から、スバルがずっとリゼロ世界に残り続ける可能性は低く、エミリアやレムと結ばれる結末を迎えるのは難しいのではと考えられます。
「消滅型の霧」の効果の仕組み
「消滅型の霧」で敗北した人物は、周囲にその存在を忘れ去られてしまいますが、これは「暴食の権能」によるものです。
白鯨は「暴食」のペットとも言及されているため、暴食の権能の一部を使うことができるのだと思われます。
暴食の権能の概要については、クルシュ邸でパックがスバルに教えてくれます。
ヴィルヘルムが白鯨に食べられた原因
ヴィルヘルムが背後から現れた白鯨に食べられてしまったのは、直前に白鯨が3匹に増えたことが原因です。
ヴィルヘルムの認識でも「白鯨は1匹」であり、そのため認識外の位置から襲撃されてしまったため、達人のヴィルヘルムであっても回避することができず、お腹の中に入れられてしまったのでした。
リゼロ原作小説7巻4章「絶望に抗う賭け」あらすじネタバレ
討伐隊の騎士達が、諦め、膝をつき、武器を手放す中、スバルは「この程度の絶望で俺が諦めるか」と叫び、レムと共に白鯨に向かいます。
- レムが奮戦
- スバルがパトラッシュに乗り、撹乱作戦を実行
- ピンチをミミの魔法障壁に助けられる
- クルシュが膝をついた騎士達に向け、スバルを指し、最弱の男がまだ諦めていないのにどうして下を向いているのだと檄を飛ばす
- 討伐隊の士気が復活し、3体の白鯨に向かっていく
スバルの心の中にはレムがいて、諦めるスバルを許さないレムの愛が、スバルが絶望することを許しません。
スバル・レムがこの時、諦めずに突進していなければ、討伐隊は壊滅必死となっていました。
ヴィルヘルムを白鯨の腹から救出
スバルがパトラッシュと白鯨の注意を引く撹乱作戦を実行しています。
ミミ・へータローの姉弟コンビは、白鯨の1体が怪しい動きをしているのを見て、音波攻撃を放ちました。
- 攻撃による傷跡付近から、ヴィルヘルムが登場
- 丸呑みされるも一命を取り止める
- ミミがヴィルヘルムをフェリスの元に送り届ける
スバルは、白鯨が3体に増えた理由が見え、クルシュ、レム、へータローと作戦会議を行います。
白鯨討伐の糸口
クルシュから「複数個体がいるのが伝わっていないのはおかしい、何かカラクリがあるはずだ」と言われ、スバルは考えていた一つの仮説を説明します。
- 仮説1:白鯨は、増殖したのではなく、元の1体が分裂している
- 根拠1:個体で見れば弱体化しており、それが討伐体がまだ戦えている理由
- 根拠2:ヴィルヘルムが与えた傷が3体ともあるのはおかしい
- 根拠3:リカードが「軽くなっている」と伝言を残している
- 仮説2:本体は上空で漂う1体
- 根拠:上空の1対が戦闘に参加すれば壊滅は決定的になる。参加しないのは、万が一でも自分が倒されるのを避けるため
- 結論:上空の1体が本体で、これを倒せば他の2体も消える
クルシュ、レム、へータローはこの仮説を受け入れます。
そして、スバルが上空の1体を倒すためのアイディアがあると言います。
フリューゲルの大樹の使い方
まずは、上空の白鯨を地面に落とす必要があります。
レムは、氷魔法を上空の一体に向けて放ちました。
- 氷魔法は白鯨に回避される
- 氷魔法の後ろにスバルがしがみついており、白鯨の鼻先に着地する
- ループを宣言しようとして、魔女の香りを強める。そして地面に向けてダイブする
- 魔女の香りで正気を失った白鯨がスバルを追う
- 落下して来たスバルをパトラッシュに乗ったレムがキャッチ
白鯨は正気を失ったまま、逃げるレムとスバルを追いかけます。
そこに、轟音が鳴り響き、天を衝く大きさのフリューゲルの大樹が倒れ、超重量で白鯨を下敷きにしました。
ヴィルヘルム・ヴァン・アストレア
身動きの取れない白鯨の前に、ヴィルヘルムが立ちます。
我が妻、テレシア・ヴァン・アストレアに捧ぐ
と、宣言しました。
リゼロ原作小説7巻5章「ヴィルヘルム・ヴァン・アストレア」あらすじネタバレ
第五章では、ヴィルヘルムの生い立ちが語られます。
ヴィルヘルムは、北方のグステコ聖王国との国境沿いを領地とする、ルグニカ王国の地方貴族トリアス家の三男として生まれました。
8歳の頃から剣を振り続け、14歳になると領地で一番の使い手になります。
兄に将来のことを問い詰められると、「王国軍に入って騎士になる」と言い捨て、トリアス家を飛び出しました。
亜人戦争に参加
ルグニカ王国は、王国の東側の国土を中心に、亜人族との大規模な内戦「亜人戦争」の最中であり、剣に覚えのあったヴィルヘルムは、志願兵として王国軍に入ります。
- 戦場にもヴィルヘルムに敵うものはいない
- 周囲とも交わらず、ひたすら剣に打ち込む
- 戦場でも、味方を無視してただただ暴れ回る
- 立てた武功は計り知れず、しかし資質にかけると騎士は叙勲されない
- 味方からも敵からも畏怖・忌避の対象として「剣鬼」と呼ばれる
ただひたすらに剣に打ち込むヴィルヘルムに変化が起きたのは、一人の少女との出会いでした。
美しい赤毛の少女との出会い
ヴィルヘルムは、王都にいる間は、放棄された開発区の荒れ果てた場所で剣を振り続けます。
ある日、開発区に種を蒔いて、花畑を作っていた赤毛の少女と出会います。
少女は、ヴィルヘルムに問いかけます。
- 花は好き?
- どうして剣を振るの?
スバルは、花は嫌いで、剣を振るのはこれしかないからだと応えます。
変わっていくヴィルヘルム
少女と会う回数が増え、ヴィルヘルムは次第に、少女と会うために開発区の花畑へ足を向けるようになります。
少女は「テレシア」と名乗り、二人は会うたびに同じ質問と、同じ答えを繰り返していきます。
ある時、ヴィルヘルムはテレシアの微笑みを見て、自分の中の答えが変わったことに気付きます。
花は嫌いではなくなり、剣を振るうのは、これしかトリアス家を守る方法が思いつかなかったからだと話しました。
ヴィルヘルムの戦い方は、味方を慮るものに変わり、周囲の目が変わり、「騎士」が叙勲されます。
トリアス家に戦火が広がる
内戦は、国土の東部から、トリアス家のある北部まで広がります。
ある日、ついにトリアス家の領地にまで戦火が及んだと聞きますが、騎士であるヴィルヘルムに出動命令はありませんでした。
しかし、ヴィルヘルムは自分が剣を振る理由に立ち返り、単独トリアスの領地に向かいます。
- トリアスの領地は既に火の海になった後
- 無数の敵に立ち向かうが、多勢に無勢で膝をつく
- 一人の少女が戦場に立ち、敵を圧倒する
- 「剣鬼」の名前が戦場から消え、今代の「剣聖」の名前が戦場に現れる
ヴィルヘルムは、戦場での傷が癒えた後、王都の開発区の花畑に向かいます。
そこでテレシアと会い、今代の剣聖に対して、俺を笑っていたのかと問いました。
テレシアは、ヴィルヘルムの剣を圧倒し、もうここには来ないと話しました。
テレシアは、剣聖でありながら剣を振るう理由に迷っていました。「誰かのために剣を振る」というヴィルヘルムの思いに触れ、ついに戦場に立つことを決めたのでした。
亜人戦争の終結
剣聖が戦場に姿を現わすようになり、情勢は一気に王国軍に傾きます。
二年が経過した頃、亜人戦争はいよいよ終結となり、王都では剣聖への勲章授与のセレモニーが開かれます。
そこに「剣鬼」ヴィルヘルムが現れ、テレシアと剣を交えます。今度はヴィルヘルムの剣がテレシアに届き、勝利を収めます。
ヴィルヘルムは、テレシアが剣を振る理由は自分が継ぐ、テレシアは自分が剣を振る理由になればいいと話します。
テレシアは、繰り返してきた質問を投げかけます。
- 花は好き?
- どうして剣を振るの?
ヴィルヘルムは、花は嫌いじゃなくなった、お前を守るために剣を振る、と応えました。
私のことを愛している?と聞くテレシアに、ヴィルヘルムは恥ずかしそうに、いつかな、と返します。
ヴィルヘルムが白鯨を討伐する
舞台は白鯨戦に戻り、ヴィルヘルムがテレシアの仇を討ち取りました。
10年以上かかった戦いで勝利を掴み、妻への愛を叫びます。
クルシュが、ヴィルヘルムが白鯨を討ち取ったことを高らかに叫び、勝利を宣言し、リーファウス平原に歓声が響き渡ります。
リゼロ原作小説7巻5章の考察、ネタバレ解説
ヴィルヘルムは剣の天才(本人自覚なし)
ヴィルヘルムは剣の天才であり、努力の達人でもあります。
本来「剣聖」の領域に努力だけで手が届くことはあり得ませんが、ヴィルヘルム自体が異常なまでの剣の天才であり、その上に尋常ではない修練を重ねていったため、テレシアを破る領域にまで達したのでした。
ヴィルヘルムの少年時代、「剣鬼恋歌」で語られる時代は短編集やコミックでもまとめられていますので是非読んでみてください。
リゼロ原作小説7巻6章「メイザース領への道」あらすじネタバレ
白鯨討伐の歓声に湧くなか、スバルは悲痛な声を上げて、気を失っているレムに声をかけます。
レムは、フリューゲルの大樹が倒れてきた衝撃からスバルを守り、そのダメージを一身に負っていました。
ここから、レムの凄まじい策略が展開されます。
- レムの名前を叫び続けるスバル
- レムが目を覚まし、スバルの無事を確認してホッとする
- レムは、今にも息絶えそうにしながら話を続ける
- スバルに「愛してる」と伝える
- 一つだけお願いをしても良いですかと聞き、好きって言って欲しいとスバルにおねだりする
- スバルは、レムに大好きだ、未来にレムがいなきゃだめだ、と叫ぶ
- 勢い余って、お前は俺のものだ、誰にも渡さない!と叫ぶ
- レムはケロっと起き上がり、「言質、頂きました」と微笑む
スバルは、レムの渾身の策略に見事にハマり、安堵して、レムを抱きしめました。
クルシュからの信頼を得る
クルシュが、スバルの元を訪れ、立役者だとその功績をたたえます。
- 白鯨の出現場所と時間を特定する
- 戦力・準備を整えるのに奔走
- 騎士達が絶望した時に先陣を切り、士気を復活させる
- 絶望的な状況を打開する献策を奉じ、身を持って白鯨を大樹の下に追いやる
クルシュは、その恩義に報いるためにカルステン家に迎えたいとダメ元で提案しますが、スバルは、エミリアに仕えると清々しく答えます。
クルシュは、いずれ別の形でスバルの恩義に報いることと、将来エミリア陣営と敵対することがあっても、スバルには最後まで友好的に接すると誓いました。
魔女教徒討伐への援軍が到着
クルシュに、スバルはまだ別の目的があるのだろうと水を差し向けられ、魔女教徒の討伐について話します。
白鯨による被害は甚大で、助力は望めないとスバルは考えていましたが、続々協力者が現れます。
ヴィルヘルム | 白鯨討伐の機会をくれたスバルに感謝している |
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フェリス | クルシュの指示でスバルに助力。スバルに冷たく当たる時があったのは、同族嫌悪のようなものだったと判明 |
討伐隊員20名 | 白鯨戦後、動ける人員の半分 |
リカード | 白鯨戦の後半は活躍できなかったと言い、魔女教徒討伐では活躍すると意気込む |
ミミ・ティビー | 弟のへータローはマナ切れで王都帰還。代わりにもう一人の弟、ティビーが援軍として到着 |
鉄の牙 | 街道封鎖の任に当たっていた鉄の牙団員が援軍として到着 |
ユリウス | 鉄の牙の援軍と共に到着。日を跨いだ時に謹慎が解けた |
スバルは、ユリウスと最初こそ敵愾心を持って接してしまいますが、その実、練兵場でのユリウスの行動の真意を理解しており、その時の自分の行動を謝罪します。
ユリウスも、スバルを侮ったことを心から謝罪し、二人の間のわだかまりが薄れました。
クルシュ、レム、へータロー、負傷者は、白鯨の一部を持って王都に帰還。
スバルと協力者達は、アーラム村・ロズワール邸に出現する魔女教徒の討伐に向け、作戦会議を始めます。
リゼロ原作小説7巻6章の考察、ネタバレ解説
レムさん策士すぎる
白鯨討伐直後に「言質取りました」の作戦を敢行するレムさん、切り替えの早さが尋常じゃないです。
直前まで白鯨に追いかけられ、フリューゲルの大樹が倒れてきた衝撃で吹き飛んでいるのに、スバルが近づいてくるや否や、息も絶え絶えになる演技をするのは、もう余程頭の中にスバルしかないのでしょう。
ミミは三姉弟の中で最も戦闘に向いている
ミミ、へータロー、ティビーの三姉弟は、それぞれに特徴があり、個性に合わせた指導をしてもらい成長してきました。
ミミは三人の中で最も戦闘能力に長けており、マナの保有量が多い優秀なゲートを持っているため、へータローがマナ切れでティビーと交代することになっても、ケロッとした状態で魔女教討伐戦に参加します。
ユリウスは仮名「ユーリ」として援軍に参加
魔女教討伐戦にはユリウスも参加しますが、近衛騎士が傭兵の立場に身を窶してしまう訳にはいかないので、「ユーリ」として援軍に参加しています。
ユリウスは「最優の騎士」であり、見栄や格好良さに対して人一倍こだわりがあります。
このユリウスの性質は、原作小説25巻のプレアデス監視塔での出来事にも関わってきます。
リゼロ原作小説第7巻のストーリーの流れ
- クルシュとの同盟成立
- ラッセル・アナスタシアが物資と武器を準備
- 決戦前夜にクルシュ邸で慌ただしく準備が始まる
- フェリスがフーリエ殿下・ヴィルヘルムの過去を話す
- パトラッシュと出会う
- 鉄の牙団長「リカード」と出会う
- ミミ・へータローと出会う
- フリューゲルの大樹に到着
- 白鯨戦開始
- ヴィルヘルムが白鯨を打ち取る
- レムがスバルの言質をとる
- 魔女教討伐に向けての援軍が続々現れる
続きの8巻のあらすじ・ネタバレ解説はこちら
本ページの情報は2021年03月05日時点のものです。最新の配信状況は各動画配信サイトにてご確認ください。