「リゼロ(Re:ゼロから始める異世界生活)」原作小説9巻を、ネタバレありであらすじ解説・考察をしていきます。
第8巻では、岩壁の洞窟でペテルギウスを撃退し、スバル囮作戦で順調に指先の拠点を壊滅させていったスバル達。
しかし、2人目、3人目と複数のペテルギウスが出現し、アーラム村での大激戦に発展しました。
最後は、エミリア・パックも参戦し、全ての魔女教徒を撃退しましたが、スバルにペテルギウスが憑依し、フェリス、ユリウスによってスバルが撃退される結果となってしまいます。
白鯨戦後にループしたスバルは、今度こそペテルギウスを突破し、エミリアとの再会を果たすことができるでしょうか!?
第8巻のあらすじ・ネタバレ解説はこちら
リゼロ原作小説9巻1,2二章「温もりという福音/お膳立ての舞台裏」あらすじネタバレ
スバルが目覚めると、そこは白鯨討伐後、魔女教徒討伐に向けての作戦会議をしているリーファウス平原でした。
スバルは、セーブポイントが更新されていたことに安堵しながら、4周目のループで明らかになったことについて、討伐隊のメンバーと共有します。
ペテルギウスの憑依能力 | ・ユリウスが、400年前の嫉妬の魔女の災厄の前後で失われた失伝魔法の中に、魂の転写技術に関連するものがあると話す ・全ての指先を先に撃退する ・その後、岩壁の洞窟にいるペテルギウスの元へ向かう ・すると、スバルに憑依すると説明 ・フェリスのマナ干渉で体内からペテルギウスを外に弾き飛ばし、最後の体に戻す ・ユリウスの精霊騎士としての一撃で撃退する |
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行商人・荷台に紛れ込む魔女教徒 | ・行商人団のケティに嘘の情報を流させる ・本当の動きの2時間遅れの情報を魔女教徒に伝えさせる |
クルシュの白紙の親書 | ・四方から見える看板に誤解である内容を書いて走る ・ラムの「千里眼」に見つけてもらう |
指先同士の定時連絡が途絶えれば、魔女教徒の総攻撃がアーラム村に向かう可能性が高いため、ケティに偽情報を流した上で、まずはアーラム村・ロズワール邸の人々の避難を行うことになります。
失伝魔法についても知識が及んでおり、ユリウスは相当に魔法オタクです。精霊術師であり、貴族でもあることから、家柄が魔法に長けた一族で、ロズワールのように蔵書を溜め込んでいるのかもしれません。
ラムを説得して味方につける
ラムは、アーラム村の人々の屋敷への避難を説得するため、街道を進んでいました。
鬼族は森の変化に気付きやすく、遠くから、複数の気配が急速に近づいてくることを察知し、警戒を強めます。
周囲の安全を確認してから「千里眼」を使うと、白紙の親書を送りつけてきたカルステン家の武装集団50名程度がおり、敵対勢力かと疑います。
しかし、スバルの姿がそこにあり、イ文字で書かれた「てがみはまちがい。おれがわるかった」という看板を掲げているのをみて、敵ではないと判断します。
アーラム村で討伐隊と合流したラムは、まだ警戒していますが、クルシュ家の使者としてフェリスとヴィルヘルムが説明をしたことで、無事同盟が成立したことを信じます。
村人を説得する
スバルは、次に村人達に避難の説得を行います。
4周目では、エミリアを蔑視する村人の姿に落ち込んでしまい、渋々承諾させる形となってしまっていました。
前回同様、村人達がなぜハーフエルフの半魔を王候補に擁立するのかと責めます。
- 村人達のハーフエルフへの蔑視の気持ちに理解を示す
- 一方で、エミリアが村で過ごした時間を語り、エミリアはみんなと一緒に笑いたいと願っていることを語る
- みんなが恐れ忌避するハーフエルフではないことを語り、頭を下げてお願いする
- ペトラがスバルの前まで歩き、反転して村人の方へ向く
- ペトラが、エミリアがラジオ体操で芋判を押してくれたことを語り、恩人であるスバルの頼みだよと叫ぶ
- 子供達が一斉にエミリアを受け入れると大騒ぎする
- スバルが頭を下げ、エミリアに機会を与えて欲しいという
- 大人の村人達も、エミリアを受け入れると話す
スバルの真正面からの説得により、4周目とは異なり、村人達はきちんとエミリアを受け入れて避難が開始されます。
スバルの説得後は、ラムが、避難手順と損害が発生した場合の保証について説明しました。
前回断られたところから、スバルはもう一歩踏み込んで村人にエミリアへの理解と機会の提供をお願いしました。その結果、ペトラや子供達の協力もあり、村人全員にエミリアを受け入れてもらうことに成功します。
これは、フェリスが前周で「顔を上げて前を向きなさい」と話した言葉、そのものの結果でした。
パックを説得する
ユリウスは準精霊をロズワール邸に飛ばし、事前にパックをアーラム村に連れてきていました。
パックは、スバルに対して強い怒気を出し、村中の騎士が一気に警戒態勢に変わります。
スバルは、パックに3つの罪を説かれた3周目を思いながら、謝罪と願いを伝えます。
- エミリアとの約束を破ったこと、そして、言いつけを守らずにメイザース領に戻ってきたこと、これは罪である
- 罰するというなら、それは受け入れる。しかし、それは今ではない。
- 今は、エミリアに危機が迫っている。それを助けたい。パックにも助力をお願いしたい
スバルが本気でエミリアを想っていることを感じたパックは、怒気を抑え、スバルの提案を受け入れます。
また、スバルの村人達への説得スピーチも聞いており、最初から許す気であったとも話します。
パックはエミリア至上主義であるため、3周目までで3度スバルの権能を発動させたように、エミリアに敵対するなら誰だろうと容赦しません。パックは完全には許してはいないものの、スバルがエミリアの助けになると感じたため、協力を受け入れます。
ベアトリスを説得する
パックがお願いしたことで、ベティーがアーラム村の一部屋を禁書庫に繋ぎ、スバルを中に招き入れます。
開口一番、ベティーは禁書庫から出ないと結論を伝えます。
- スバルは、ベティーは小さな女の子であり、絶対に連れていくと譲らない
- スバルの強い言葉に流され、腕を引っ張られ、一度は外に出ようとするが、扉の前でベティーは動かなくなる
- スバルの手を振り切り、「これ以上惑わすのはやめて」と泣くような声でつぶやく
- スバルをアーラム村に強制転移させる
- ベティーは一人残った禁書庫で「お母様、ベティーはあとどれだけ」と涙を流す
アーラム村に戻されたスバルに対して、パックは、スバルの説得でダメならベティーの残る意思は絶対に変わらないと話します。
ベアトリスにとってスバルが特別なことは、パックも理解していることだと判明します。なぜスバルが特別なのか、スバルに何を期待しているのか、これから明かされていくことでしょう。
ここで、ユリウスが、行商人を案内している狐人ラジアン達から連絡があり、もうすぐアーラム村に到着する状況を共有します。
ケティを捕虜にする
ケティは、アーラム村に到着すると、把握していたスケジュールよりも2時間早い動きに焦り、ミーティアを使って、もう一度仲間の指先に状況を伝えようとします。
そこに、スバル達が姿を現わします。
ケティは反撃しますが、あっさり捕縛され術式も解除されてしまいました。
- ケティに偽情報を流させたことで、2時間の余裕ができた
- この間にエミリア達を避難させ、指先を撃退し、ペテルギウスに勝利する
ケティはフェリスによって、指先術式も自爆術式も無力化され、捕虜となります。
ユリウスは、フェリスの技量に信じられないという目を向けました。
フェリスは、スバルから術式のことについて聞いていたとはいえ、短時間で術式を解除してみせる凄技を見せます。その技量の凄まじさは、ユリウスの驚きに表されています。
ロズワール邸に赴く使者
エミリアは、ここ数日の出来事により、眠れない日々が続いていました。
- 王都でのスバルとの決別
- 陣営の代表者となった重圧
- 森に生じた異変
- 村人からのはっきりとした否定・拒絶
- クルシュからの白紙の親書
目覚めたエミリアに、すぐにパックが顔を出して心配してきます。
パックにどうしたらいいと思うと相談するエミリアでしたが、パックの答えはいつもと同じで、「自分はエミリアの味方であり、エミリアを邪魔するものの敵だ」と返ってきます。
そこに、ラムが使者を連れて、アーラム村から戻ってきます。
使者はヴィルヘルムで、クルシュから届いた白紙の親書は真意ではなく、ロズワールとクルシュにより、裏で同盟が成立したことを告げ、現在の状況を伝えます。
- 王都で有名な犯罪集団がメイザース領の森に潜伏、これを討伐するために討伐隊が展開
- 激戦が予想されるため、エミリアにも村人達と共に一時避難してもらいたい
- エミリアが自分も力になると主張するが、エミリアとクルシュが早急に会談の場を設けないと、ロズワールの厳命を破ったことになり、自分が失職することになる
ラムは、ヴィルヘルムの話に乗って相手が「野盗の王」だと話したり、ロズワールが自分を脅していると嘘の話をした時にはヴィルヘルムを睨みつけたりするなど、この状況においても変わらずのマイペースです。
エミリアは半数の村人と共に王都へ、ラムはもう半数の村人と共に「聖域」へ避難することになります。
「野盗の王」は個人的に大好きです。この状況でもマイペースを貫くラム姉様、流石です。
エミリアが王都へ避難開始
エミリア達がアーラム村に到着すると、エミリアは3つの驚きに包まれます。
- 話も聞いてくれなかった村人が避難に快く協力し、既に避難準備が完了している
- 自分を嫌っている村人達と、同じ竜車に自分が乗ること
- 同乗する子供達が自分の手を引いて、エミリアと一緒に乗るのは全然大丈夫と言ってくれること
エミリアは、自分の手に感じる小さな温もりに救われながら、竜車に乗り込み、王都への避難を開始しました。
エミリア達の護衛には、騎士10名と最強戦力ヴィルヘルムがつきます。
ペテルギウスを撃退するためには、マナやオドに干渉できる力が必要です。フェリスやユリウスにはそれがありますが、ヴィルヘルムにはないため、ヴィルヘルムがエミリア達の護衛につくことになります。
リゼロ原作小説9巻1,2章の考察、ネタバレ解説
「魂の転写技術」に関連する魔法があったと判明
ユリウスは魔法オタクの一面があり、魔法に関する知識は相当に精通しています。
400年前の失伝魔法の中に「魂の転写技術」に関連する魔法があったことが言及され、ペテルギウスの憑依の仕組みがこれに該当するのではと示唆されました。
「魂の転写技術」は今後のリゼロの物語の中でも深く関わってくるもので、聖域編でも再登場します。
スバルの成長がアーラム村の人々の説得に繋がる
前の周回では立場で渋々アーラム村の人に動いてもらいましたが、今回は正面から村人達と向き合い、エミリアを真っ直ぐ見て欲しいという真心が伝わりました。
その結果、答えは保留ではあるものの、村人達はエミリアと向き合う心構えに変わります。
また、スバルの本心での叫びをパックが聞いていたこともあり、怒っていたパックもスバルがエミリアの味方であると信じるようになりました。
ベアトリスが禁書庫を離れようとしない理由は?
ベアトリスが禁書庫から離れようとしない理由には次の二つがあります。
- 禁書庫は隔絶された空間であり基本的に安全
- 契約によって離れることができない
ベアトリスと禁書庫、契約、「お母様」は次の第四章の聖域編で詳しく描かれますので、読み進めていきましょう。
パックが「スバルの説得でダメなら」と言及した理由
パックが「スバルの説得でダメならベティーは出てこない」という発言から、ベアトリスにとってスバルは「特別」であることがほぼ確定しました。
なぜベアトリスにとってスバルが特別なのかは、四章で語られることとなります。
これまでも初登場時に悪戯をする、禁書庫に入れる、簡易契約を結ぶなどのベアトリスなりの特別扱いをスバルにしてきましたが、その謎が明かされるのが楽しみですね。
スバルが「認識阻害ローブ」を着て登場した理由
スバルが「認識阻害ローブ」を着てロズワール邸に登場した理由は、エミリアが「逃げろ」と言われて逃げる性格ではないからです。
自分がクルシュ邸に向かわないとヴィルヘルムに迷惑がかかると分かって、初めてエミリアは避難することを承諾しました。
スバルはエミリアの性格を理解しており、いくら危険を説明したとしても、「エミリアのために」エミリアが逃げることはなかったでしょう。
リゼロ原作小説9巻3章「自称騎士と最優の騎士」あらすじネタバレ
ケティの所持していた地図には目印が刻まれており、最寄りの一つにリカード達「鉄の牙」が赴いたところ、予想通り指先の拠点であることが判明します。
リカード・ミミ・ティビー達は、一人残らず撃退したと話します。
また、生贄に捧げられそうになっていた男を保護したと、両手両足を縛った状態で男を運んできました。
その男は、1周目でフルールの街で出会った「オットー」でした。
- ロズワール邸での儲け話に先んじようと、集団から離れてロズワール邸に一人で直行
- 途中で魔女教徒と遭遇し、拠点に連れ帰られる
- 拠点を壊滅させたリカード達に救出され、スバルの元に連行される
- スバルと親しげに話す姿をみて、魔女教側の人間ではないと判断される
オットーは、「荷物の目録を整理する仕事」を与えられます。
スバルは、相手と笑いながら話をしている内心で、相手のことを疑う嫌な奴になったと零します。
ユリウスは、だからこそ我々は誰も傷つかないで今いることができている、とスバルを励まします。
スバルは、責任ある立場の者の思考を少しずつ学んでいきます。この学びをすることで、相手にも立場あると考えられるようになり、大人の話し合いができるようになっていきます。
ちなみに、オットーの仕事も今後、重要になる仕事です。
魔女教徒の目的が明らかになる
スバルはパトラッシュに乗り、ペテルギウスのいる岩場の拠点に向かいます。
姿を現したペテルギウスに対して、恭しく挨拶をし、「試練」について質問します。
- 試練とは、此度の半魔が、「魔女を降ろすに足る器か」を試すもの
魔女教徒の目的は、「魔女再誕の日に、器に嫉妬の魔女サテラを誕生させること」でした。
既に、その手段が「魔女因子を取り込ませること」、対象としてのエミリアが「器としてこれ以上は望めない素材」だと判明しています。これで、魔女教徒のエミリアへの行動の真意が、ほぼ明らかになりました。
1,2周目でパックがいながらもエミリアは敗北しているため、「パックがいても魔女因子はエミリアに取り込ませられる」「エミリアが魔女因子を取り込むと思わぬ事態が発生する」可能性が高いと考えられます。
敬虔な態度のスバルの処遇について確認すべく、ペテルギウスは福音書を確認しますが、スバルについて何も書かれていません。
態度を急変させ、スバルに対して見えざる手を放ちました。
ペテルギウス VS スバル・ユリウス
スバルはパトラッシュに乗り、「見えざる手」を回避しながら、ユリウスとの待ち合わせ場所に向かいます。
逃走中も別働隊が指先の拠点を壊滅させており、スバル達が待ち合わせ場所に到着する頃には、ペテルギウスの指先は全て壊滅していました。
- ユリウスの6属性を束ねた虹色の剣で魂に直接ダメージを与える
- ネクトでスバルと感覚共有し、スバルの目で「見えざる手」を見る
スバルとユリウスは、5周目にてようやく本当の信頼関係を構築します。
君の目で、私が斬ろう。我が友、ナツキ・スバル
ペテルギウスとの戦闘が始まりました。
リゼロ原作小説9巻3章の考察、ネタバレ解説
スバルは集団を率いる者としての資質を身につけていく
オットーがリカードに連れてこられた際、スバルは笑顔を見せながらも、心の中ではオットーに対して疑いの目を持っていました。
自分が嫌な奴になったと感じていましたが、それは集団を率いる者に必要な資質であり、スバルの成長の証でもあります。
集団を率いる者は、立場が求めるものに対して応える必要があり、それができなければその集団を危険に晒し続けることになります。
スバルは「幼い交渉」でクルシュに対して「冷たい奴だ」と言っていましたが、今ならきっとクルシュの立場も理解できることでしょう。
リゼロ原作小説9巻4章「怠惰の終焉」あらすじネタバレ
ユリウスは、途中から自分の目を閉じ、スバルの目に視界を統一して戦います。
後ろから自分の姿を見て戦うという至難の技を難なくこなし、ユリウスはペテルギウスを窮地に追い込みました。
フェリスによる攻撃
ペテルギウスは、最後の手段として、スバルの身体に憑依します。
ユリウスは対話鏡を使って、フェリスに「ペテルギウスがスバルに憑依した」ことを伝えます。
フェリスは、一度マナに干渉したことのある相手なら、遠隔でも体内のマナを暴走させることができます。
そして、フェリスのマナ操作の攻撃が、ペテルギウスに襲いかかります。
フェリスは、やろうと思えばスバルにいつでも攻撃を与えられます。王国でも多くの人を治癒しており、その時にマナに干渉しているので、大勢の人達の命運を握っていると表現しても良いかもしれません。
フェリスは命を軽んずる相手を軽視しており、当然自分の力を悪用することはありません。また、クルシュも「魂の在り方」にこだわりがあるため、フェリスの力を政治に悪用するようなことはしないと考えられます。
ペテルギウスの正体
スバルは、悶えるペテルギウスに対して、ペテルギウスの憑依の種を理解したと説明します。
- ペテルギウスは邪精霊
- 憑依は特殊な契約の一種
- 精霊を嫌うのは同族嫌悪に近いもの
- 精霊術師を嫌うのは、憑依できる素質がありながら、精霊と正式契約を結んでいるため憑依できないから
ペテルギウスは、精霊と同一視されたことに怒り、自分は魔女に愛された「精霊を超克した存在」だと主張します。
「邪精霊」という新しいワードが出てきました。以前、パックがロズワール邸の庭園で、微精霊が時間をかけて、力と自意識に目覚めて精霊になると説明をしています。目覚めた自意識が邪なものであれば邪精霊となってしまうのか、メカニズムの違いはまだ説明されていません。
ペテルギウスの悲しい最期
スバルは、そんなに会いたいなら会わせてやると言い放ち、「ループ」を宣言しようとして、魔女を呼び出します。
- ペテルギウスは、400年待ち望んでいた魔女との再会が訪れたことに、天にも昇る気持ちを味わう
- しかし、魔女からでた言葉は「お前はあの人ではない」という辛辣なもの
- ペテルギウスの魂は散り散りになる
スバルの体からの憑依を解いたペテルギウスは、最後の体に戻ります。そして、なぜ自分の愛が報われないのかと泣き叫びます。
スバルは、お前のは愛ではなく、独り善がりだと突き放します。
そして、ユリウスがペテルギウスの魂に一撃を与えました。
ペテルギウスは最後に、見えざる手を、何かを掴もうとするかのように天に伸ばします。それが、岩壁の崩落を招きました。
ペテルギウスが、嫉妬の魔女の災厄が起きたタイミングとほぼ同じ時から存在していることが明らかになりました。
また、スバルはペテルギウスの愛を「独り善がり」だと突き放しますが、これは少し前のスバルに対しても返ってきてしまう言葉です。もしかしたら、スバルも、少し間違えていたら、ペテルギウスのようになってしまったのかもしれません。
リゼロ原作小説9巻4章の考察、ネタバレ解説
ペテルギウスが「精霊を超克した存在」だと主張する理由
ペテルギウスが精霊、この時点で邪精霊であることは間違いない事実です。
憑依の仕組みは、精霊術師の素養のある者のオドに自分の魂を上書きするというものです。しかし、既に精霊と契約している術師に対しては憑依できないため、精霊に対して強い嫌悪感を持っていました。
「精霊を超越した存在」というのは、術士に対して使役されるのではなく、術士の体を奪い、自分が主となることに対する自負から出た発言なのかもしれません。
魔女がペテルギウスに辛辣だった理由
ペテルギウスは400年もの間「嫉妬の魔女に対する愛」を頼りに生きてきました。
しかし、スバルの権能によって出会った「嫉妬の魔女」は、ペテルギウスの求めた存在とは別の存在となっています。そのため、ペテルギウスを見ても冷たい態度を取り、愛を真っ向から否定して見せたのでした。
この辺りの謎については、次の第四章聖域編で明かされます。
リゼロ原作小説9巻5章「―ただそれだけの物語」あらすじネタバレ
ユリウスが対話鏡で、フェリスから「竜車の一部に不審な点が見つかった」という報告を受け、ユリウスとスバルはすぐにアーラム村に戻ります。
不審な点を見つけたのは、目録を確認していたオットーでした。
- あるべき火の魔石がない
- 竜車7,8台を簡単に吹き飛ばせるほどの量
- ケティの荷台に火の魔石があったことを見ている
フェリスは、1時間半前に出発したエミリア達に追いつくのは難しいと言いますが、オットーは自分ならできるといい、スバルに交渉を持ちかけます。
- ロズワール卿との面会の機会
- 荷台の油の言い値での買取
スバルは迷うことなく承諾します。
オットーは、自分は「言霊の加護」持ちで、「どんな生き物とも会話できる能力」を持っており、これで鳥や虫に最短ルートを教えてもらえると説明しました。
オットーの言霊の加護は今後も大活躍します。鳥や虫、地竜と会話することのできる能力は非常に有用です。
出発前に、ユリウスが「イア」をスバルにつけてくれます。
そして、オットー、スバルは出発し、悪路という悪路を突き進みます。
- ほぼ垂直の崖
- 落下寸前のボロボロの吊り橋
- 魔獣の群生地域
オットーはトランス状態に入ってしまっていました。
虫や獣は、人間の価値基準で教えてくれるわけではないので、教えられた道が無謀である場合も多いようです。
しかし、突然森が騒めき、そして静かになります。嫌な気配にスバルが後ろを確認すると、ペテルギウスが、黒い影となって追ってきていました。
体を放棄し、「見えざる手」を足のように使って迫ってきています。ペテルギウスをここまでさせる嫉妬の魔女への妄執とは何なのでしょうか?
再びのペテルギウス vs スバル
スバルは、エミリア達が近いことを感じ、単独でペテルギウスと対峙します。
オットーの油、ユリウスの準精霊、地竜の「風除けの加護」、拾った「福音書」など、その場にある全てを使ってスバルはペテルギウスの撃退に成功します。
途中でペテルギウスは一瞬正気に戻り、「サテラ」の名前を呼んで涙を流します。
そして、スバルは今後も大罪司教の邪魔になる存在だと、絶対に許しておけないと叫んでいました。
400年間、ペテルギウスが大罪司教として孤独に狂ってきたのは、全て「サテラ」のためとのことでした。
スバルに憑依した時にはサテラに拒絶されていましたが、「あなたが忘れても」という言葉があり、今回正気に戻ってサテラを思って涙を流したことを考えると、400年前にやはりペテルギウスとサテラには関わりがあったものと考えられます。
エミリアの本音
場面は変わり、エミリアの乗っている竜車に移ります。
王都へ避難する道を進むエミリア達は、一度竜車が止まり、ヴィルヘルムが付近に野犬が出たから追い払うと告げ、一時隊列を離れます。
再出発した竜車は、風除けの加護が発動するまでは揺れが激しく、同乗している子供達がエミリアの手をぎゅっと握っていました。
- 付近で激しい衝突の音が聞こえ始める
- パックが、ヴィルヘルムが戦闘を開始したことを報告。心配ないと告げる
- 子供達全員に手足をぎゅっと握られ、心配しないで、約束したから絶対に離さないと言われる
- 約束の内容を聞くと、「エミリアは一緒にいないと無茶をするから絶対に離さないで」と言われる
- 約束した相手を聞くと、「スバル」だと言われる
誰かに助けを求めたいときに、スバルの名前が出てきたことに、エミリアはひどく驚きました。
- エミリアの人生は、裏切られ、否定され、遠ざけられることが、当たり前だった
- それゆえ、優しく接してくれるスバルを、そのまま受け入れることができなかった
- ゆえに、決定的な関係が二人の間にできる前に、自分から拒絶した
- 結果、王都でスバルが一番助けて欲しいであろう時に、厳しく冷たい言葉で突き放し、傷つけてしまった
エミリアは、この一連の避難の流れの裏に、スバルの存在があったことを確信します。
そして、王都で深く傷つけたスバルが、なぜ自分をこんなにも助けてくれるのか、理解ができません。
王都でのエミリアの冷たい言葉は、スバルが約束を破ったことへの失望ももちろんあります。しかし、スバルに優しくしてらえる価値が自分にあるのだろうかと考える側面が多いに影響していました。
パックが、誰かが急激に接近していることをエミリアに警告します。
間も無く、その人物が竜車の荷台に入ってきます。その人物はスバルであり、エミリアは「どうして、スバル」と言葉を溢しました。
魔石処理
エミリア達の竜車に追いついたスバルは、イアに「火の魔石が積まれた竜車」を教えてもらい、急いで荷台に乗り込みます。
- エミリアの自分の名前を呼ぶ声が聞こえ、一瞬動揺するが、すぐに動き始める
- イアに魔石が隠された場所を教えてもらう
- パックに床の板を剥がしてもらう
- 爆発寸前の魔石を抱いて竜車から飛び降りる
去ろうとするスバルに、エミリアが叫ぶように声をかけ、スバルは一瞬だけ足を止めて振り返り、言葉を告げます。
好きだよ、エミリア
パトラッシュに乗ったスバルは、フリューゲルの大樹の元へ走り、氷漬けにされている白鯨の体の中に火の魔石を押し込んで、離脱します。
そして、パトラッシュが二、三歩走り出したところで、魔石が大爆発し、スバルは意識を失いました。
エミリアとの再会
スバルが目を覚ますと、エミリアの顔が至近距離にあり、頭の裏にはエミリアの膝枕がありました。
エミリアから状況を聞かされます。
- フェリスが合流し、全員無事
- ユリウスと信頼関係を作っていることに、エミリアはすごーく驚く
- スバルに、また助けられちゃったと話す
エミリアは、王都の一室でした質問を繰り返します。どうして自分を助けてくれるのか、と。
スバルは、「エミリアが好きだから、君を助けたいんだ」と答えます。
エミリアは泣きそうな表情になり、心の内をどんどん溢していきます。
- 自分は銀髪のハーフエルフ
- 本当に、すごく、すごーく、嫌われている
- 友達が少ない
- 常識がなくて、世間知らずで、変な言葉を口走る
- 契約でパックが毎日自分の髪型を決める
- 王様になりたいのも本当は自分の勝手な理由
スバルは、エミリアが自分の嫌いなところを10個上げるなら、俺はエミリアの好きなところを2,000個上げる、「そういう特別扱いをしたいんだ」と話しました。
エミリアにとって、「特別扱い」とは、差別や否定と同じ意味でした。だから、王都でスバルに「君が特別だからだ」と言われた時に、傷ついてしまいました。
しかし、スバルの「特別扱い」の話を聞き、「されて嬉しい特別扱いなんて生まれて初めて」と喜びを噛み締めました。
リゼロ原作小説9巻幕間「竜車でのひと時」あらすじネタバレ
竜車に戻ったスバルとエミリアを連れて、一同は王都へ向かいます。
スバルとエミリアの熱々っぷりを見ていたペトラが、可愛く嫉妬して、スバルとの距離を近づけていました。
スバルは、レムのことをエミリアに告げる必要があると、意を決して、話し出します。
すると、エミリアは、「レムって、誰のこと」と思いがけない言葉を口にしました。
リゼロ原作小説9巻幕間「イタダキマス」あらすじネタバレ
白鯨討伐後、白鯨の頭を持ったクルシュ、レム、へータロー率いる集団は王都へ帰還しています。
その途中で、大罪司教二人と遭遇してしまいました。
- 突然目の前の竜車がバラバラになり、一人の男が立っているのが見える
- クルシュが乗車していた竜車もバラバラになる。男は立っているだけ
- レムによって、クルシュは緊急脱出させられていた
- クルシュが「百人一太刀」を放っても男は無傷
- 男が手を上げただけでクルシュが負傷
- レムが慌てて後ろを振り返ると、騎士団も別の少年に全滅させられている
- へータロー率いる鉄の牙は、どこかで戦線離脱していた。しかし、援軍が戻ってくるまでの時間稼ぎは絶望的
残り一人となったレムは、二人に名前を聞きます。それに答えるように、二人は名乗りをあげます。
- 「強欲」担当:レグルス・コルニアス
- 「暴食」担当:ライ・バテンカイトス
レムは、英雄となるスバルの介添人だと名乗り、鬼化して、二人に向かっていきました。
リゼロ原作小説9巻5章の考察、ネタバレ解説
オットーの「言霊の加護」は超便利
オットーの「言霊の加護」は動物や魔獣の言葉を理解し、会話することのできる能力です。
動物達を味方にすることができれば、危険を事前に教えてくれたり、目的地までの最短ルートを教えてくれたりします。
地竜とのコミュニケーションもオットーがいれば円滑に進むので、味方陣営にぜひ引き込みたい存在であることは間違いありません。
ペテルギウスとサテラの関係に触れられる
ペテルギウスは、「あなたが忘れても」と言及しており、400年前に嫉妬の魔女サテラと関わりがあったことが明かされました。
「嫉妬の魔女」と「精霊」の間にどのような関係が成り立つのかは不明ですが、ペテルギウスのサテラへの親愛の深さを考えると、嫉妬の魔女サテラによってペテルギウスは救われた経験がありそうですね。
この謎については、聖域編でのエミリアの第一の試練の中で、もう少し詳しく描写される場面がありますので、読み進めていきましょう。
エミリアの本音が悲しすぎる
エミリアは王都で約束を破ったスバルに対して怒っていましたが、その怒りの原因は「自分がスバルに優しくしてもらえる価値がある訳ない」という想いだと分かりました。
このエミリアの想いは、かつてパックが話した「あの子は想像の万倍の苦労をしている」に繋がります。
エミリアにとっては、スバルでさえもいつか自分に優しさを向けなくなると考えるのが普通であり、それでもスバルを信じたく、だからこそ、スバルが自分を助けてくれる理由を求めていたのでした。
第三章の最後でスバルは自分の「特別扱い」の話をし、エミリアはようやく「好きだから助けてくれる特別扱い」があることを知ります。
パックとの契約内容が「毎日エミリアの髪型を決める」である理由
パックとエミリアとの契約内容に「毎日パックがエミリアの髪型を決める」条項があると明らかになりました。
本来パックのような大精霊との契約には大きな対価が必要ですので、この契約条項以外にも存在すると思われます。
また、髪型をパックが決めるのは悪戯心ではなく、きちんとした理由があります。これも聖域編で語られることとなります。
大罪司教「暴食」が白鯨をペットと呼んだ理由
魔女教大罪司教「暴食」担当、ライ・バテンカイトスは、白鯨を自分のペットだと呼びました。
魔獣は400年前の「暴食の魔女」ダフネによって生み出され、白鯨もその時に誕生しています。
それ以降、白鯨は「暴食の魔女因子」を持つ者の係累として存在してきたため、この時点ではバテンカイトスの命令に聞く存在となっており、だからこそバテンカイトは白鯨をペットと呼称していたのでした。
リゼロ原作小説9巻6章「それぞれの、誓い」あらすじネタバレ
王都に戻り、クルシュ邸に着いたスバルは、自分以外の全員から忘れられ、「眠り姫」の状態となったレムと再会します。
レムのいない未来を歩くくらいならばと、ループを試みますが、セーブ地点はループ発動の直前に更新されてしまっていました。
このシーンは第4章の聖域編でも登場します。
談話室での話し合い
エミリア陣営とクルシュ陣営での話し合いが、クルシュ邸の談話室で開かれます。
- 一時離脱したヘータローが援軍を連れて戻るが、既に部隊は壊滅していた
- クルシュは自分のことを覚えていない「記憶喪失」状態
- レムは傷がどこにもないのに目覚めない「眠り姫」の状態
- ヴィルヘルムが「眠り姫」に強い反応を示す
- フェリスが、クルシュの身を案じて同盟破棄を提案
- ヴィルヘルムが主の仇を討つ機会が失われると同盟継続を支持
- クルシュが、困難から逃げることはしないと、同盟継続を判断
- レムやクルシュの症状は、大罪司教「暴食」によるものだと認定
- 二つの陣営が魔女教徒との対立を深めていく
記憶を失ってなお、以前と同じような凛とした姿を垣間見せるクルシュに、一同は驚きを感じます。
過去の記憶が人格を作るのでないのなら、魂に刻まれたものなのだろうかと、スバルは逡巡します。
ヴィルヘルムは「眠り姫」の状態に詳しく、身内に関係者がいるような素振りを見せていました。
ヴィルヘルムと「死神の加護」
廊下で、同盟継続の支持をしてくれたヴィルヘルムに、スバルはお礼を告げます。
しかし、ヴィルヘルムは、本当の理由は自分勝手なものだと「死神の加護」についての因縁を話します。
- 左肩の癒えることのない傷をスバルに見せる
- 「死神の加護」でつけられた傷で、癒えることがないもの
- 傷をつけた相手がいるほど、傷口が開く
- 妻・テレシアにつけられた傷
- 今になって傷口が開いた
ヴィルヘルムは、この謎を解くために、魔女教徒を追い続ける必要があるのだとスバルに説明しました。
ヴィルヘルムと「亡くなったはずのテレシア」の因縁がこの時から始まります。妻を愛するヴィルヘルムにとって、もし何者かが妻の死後、妻の体を弄んでいるのだとしたら、それは絶対に許されないことでしょう。
レムと共に笑う未来へ
レムの部屋に戻ったスバルは、レムがいないと強がりも出ないと弱音を吐きます。
そこにエミリアが現れ、自分もレムが目覚めるために全力を尽くすと約束してくれます。
スバルは涙を流し、エミリアは後ろからそっとスバルを抱きしめます。
スバルは、レムと共に笑う未来を必ず取り戻すと、魔女教との戦いに決意を固めました。
リゼロ原作小説第9巻のストーリーの流れ
- 白鯨戦後のリーファウス平原で目覚める
- クルシュ・レム・ヘータローが大罪司教「強欲」「暴食」と遭遇
- 4周目の反省を活かして作戦会議
- ラムを説得
- 村人を説得
- パックを説得
- ベアトリスを説得
- ケティを捕縛して捕虜にする
- ロズワール邸に赴き、エミリアを避難させる
- エミリアが王都へ、ラムが聖域へ避難開始
- 指先の拠点を鉄の牙が襲撃開始
- オットー救出
- ペテルギウス vs ユリウス・スバル・フェリス
- オットーが火の魔鉱石がないことを発見
- スバル・オットーが悪路を駆けてエミリアの元へ
- ペテルギウス vs スバル
- ヴィルヘルム vs 魔女教徒
- エミリアが子供達のスバルの約束を知る
- スバルがエミリアの竜車に到着
- 火の魔鉱石を抱えて白鯨の腹のなかに入れる
- 火の魔鉱石が大爆発しスバルが意識を失う
- 目覚めるとエミリアの膝枕の上
- スバルとエミリアが和解
- 竜車でペトラがスバルにひっつく
- エミリアの記憶からレムが抜けている
- クルシュ邸で「眠り姫」となったレムと再会
- スバルが権能発動
- ループ直前で目覚める
- エミリア陣営とクルシュ陣営の話し合い、同盟継続
- ヴィルヘルムと「死神の加護」の因縁を聞く
- レムの寝台の前でエミリアに抱きしめられる
- レムを取り戻すことを心に固く決める
続きの10巻のあらすじ・ネタバレはこちら
本ページの情報は2021年03月05日時点のものです。最新の配信状況は各動画配信サイトにてご確認ください。